今回の天女様は随分と警戒心が強い

トレンド入りおめでとうございます!! ページ16

･

･



『なん……、だと……!?』


いまさっき友人から届いたメールを凝視した。


"Aちゃん、Aちゃんのお兄さんがトレンド入りしていましたよ"


彼は数少ない男友達のひとりで、彼にも兄がいるという共通点で仲良くなった子だ。しっかりものだけど、少し抜けているところもあって、とても素晴らしい友人だ。

と、友人の紹介も大事だが、今は兄さんの話しに戻るとしよう。



兄さんははっきり言って、地味だ。
そんな兄がトレンド入りできたなんて天変地異の前触れなのだろうか。



フォローをしておくと兄さんも一応美形なのだ。が、いかんせんわたし達の通う学園は顔面偏差値が高すぎる。
そのせいか、兄さんは優しくて美形の部類に入るのにモテない。
妹のわたしが、兄さんのモテない理由に心当たりが無いわけは無く……


「A、ただいま。」

『ッッ!?!?……に、兄さんおかえり。』

「ああ、ただいま。それで、誰とメールしていたんだ?」

『ﾋｮｴｯ……』


こういうことである。



絵文字ぐらいに微笑む兄の目に、光はない。
かつて少女漫画でヤンデレを見た時に「こんな人、実際にいるわけないよ」などと思っていたら、いた。
しかも実の兄だなんて仰天ものだよ。




『に、兄さんにはまだ早いの!!』

「俺、Aより年上だけどな……?」


正論だけど言えないものは言えない。
それから、千寿郎くんの命も危ない。


『それと、勝手に部屋に入らないでって言ったでしょう!?退場して!!』

「え、ちょ、A、話はまだ……」

『問答無用!!乙女の部屋に勝手に入るから、モテないんだよ(多分)!!』

「うっ、辛辣な……!!」


兄さんを四苦八苦して、部屋から追い出して一息つく。
気づけば、ケータイがメールを受け取っていた。


"お兄さんのお祝いしませんか?ちょうど僕の兄も休みがあるので、一緒にご飯でも食べに行きましょう"


わたしはメールの返事を打った。

ーーーー

続･おめでとう→←14

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す