今回の天女様は随分と警戒心が強い

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左門兄さんの後について行くこと数分、いつの間にか最初いた建物ではなくその隣にある、別の和風建築の前に移動していた。


左門「僕はここまでだから、後は自分ひとりで行くんだぞ。多分お前の部屋があるだろうから。」

『ええっ、ここからひとりですか!?広すぎませんか、この建物!!』

左門「いいから、行くんだ!!」



ビシッと左門兄さんは大きな建物を指さし、さっさと来た道を戻ってしまう。


ポツーン。


ひとり残されたわたしは為す術もないので、大人しく左門兄さんの言うことに従うことにする。
ええーい、良質ヘアー!!
キューティクル!!
人のよさげなお兄さん!!
センター分け!!
モブっぽいし、死亡フラグ立てた割にちゃんと生きてた何気にすごい人!!



あ、後半は兄さんの方だった。


いけないけない。
声がそっくりだし、髪も同じくらいサラサラだったから、つい一緒にしてしまった……。


「あの……?」

『っはい!?』



声をいきなりかけられて飛び跳ねそうになる。声をかけるなら掛けるって言って欲しいよ!!


あ、でもそれでまた驚くのか……。
ううん、先見の目が欲しい。



「ええっと、天女さま……ですよね?」


『美少女っ……』


「「「はっ?」」」


考え事をしながら後ろを振り返れば、三人の美少女が。
くるくるふわふわの髪の毛がキュートな元気!!て感じの美少女。
白い肌と黒い髪がコントラストな深窓の令嬢な美少女。
結婚したら損はさせないタイプの、丸くてもちもちな美少女。

え、結婚する……?←


『あ、ごめんね。ええっと、わたしは天女じゃないです多分。悪いことはしませんし、する気もないです。』


そもそも、美少女に傷つける気は毛頭ない。何が嬉しくて美少女を傷つけたいのかわからない。
……きよちゃん、なほちゃん、すみちゃんに会いたくなってきた。



「……胡散臭いでしゅ。」

ジトっ、とした目で見てくるもちもち美少女。うう、心がいたいです。


「そんなこと言って、どうせあなたも裏切るんでしょう!?」

そんなことないのに……。


「ユキちゃん、おシゲちゃん落ち着いて!!あまり刺激したら危ないわ……!!」



扱いがもはや犯罪者。
もしかして、心が読まれた……!?
前科なんてありません。本当です。
兄さんに「気をつけろ」と言われたことはあるけれど!!

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