【救済】女の子にはなれない【転生】

とんでもねえ友達 ページ7

鍛錬と鬼殺以外何も考えていない…いや、考えようとしない(・・・・・・・・)、咲の酷く歪で臆病な深層に触れた。


「ーー私だけは、人間としての私を認められない」


からっと笑いながら咲が投げ捨てようとした『人間』の部分を、しのぶはずっと前から、無理矢理にでも掴み取りたかったのだと思う。

実力も才能もかけ離れた友人の何かを掴んでいないと、目を離した隙にこんな青い空の向こうまで飛んでいってしまいそうだと、ずっと。


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ここ半年、トンカチの音が蝶屋敷の隣から止まない。

根本的な原因は胡蝶しのぶの友人であり現柱最年少の仁八咲。元々柱になる条件は満たしていたのに柱になろうとしなかった。

そう、半年前までは。

鍛錬の為の屋敷を建てる。しのぶの目の前で突然そう言うと下弦を文字通り引きずり倒して柱に就任。

そして柱権限で刀鍛冶の里の絡繰士をこれでもかと徴集し、柱に与えられる無限の給金を惜しみなく使って彼らに材料費を提供し、「こんな感じのやつ作ってくれたら後は好きなようにやって下さい」というとんでもない発言を残して半年失踪(柱合会議まで働き詰め)していた。

わずか半年、されど半年。創作意欲に富んだあの里の職人たちに制作を丸投げした咲の屋敷はトンチキ忍者屋敷(今なお改築中)と化している。
訓練用の絡繰を用意すればいいと言ったのはしのぶ自身なのだが、なんというかあそこの個性爆発職人たちに丸投げするのだけはちょっとやばい。
一月前家覗いた時顔の真横に短刀突き刺さった。あれ本当に鍛錬屋敷だろうか。機能回復訓練というか、入り込んだ者を殺すデストラップハウスじゃないだろうか。
初見の人間を初手で従順にさせる意志を感じた。

真昼間だというのに人形が何体も動き出し壁が動き天井と床が回転する光景はあの子が直接指示したものではないとはいえ、かなり怖…いや、数回訪れたら慣れたが決して怖かった訳ではない。驚いた。
半ば蝶屋敷の敷地でもあった裏山の一部(一応仕切りのようなものは立ててあった)を訪れるとまたもや罠。竹槍落とし穴。歩いたら丸太びゅんびゅん飛んでくる。
確認したら姉さんが土地を使わせる許可を出していたので何も文句が言えない。

職人達の大改造を眺めることしかできず、私は半年ぶりに帰ってきた咲と一緒に建築途中の屋敷を攻略した。
「罠が一切ない裏口はこっちですね」と言いながら執務室の隠し扉開けた時はちょっとこめかみ切れそうになった。

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