ep2 図書館という宮殿 ページ3
次の日の朝。
ロイヴィアはお風呂に入ったあと、眼鏡をかけて帽子をかぶり、大好きな場所に向かいました。
肩からかけた鞄の中には、沢山の本が入っています。
村で一番にぎわう場所を通れば、人々はロイヴィアを見て噂を始めます。
「ほら、見て。図書館に行くんだわ。」
「えっ、図書館??あのとてもつまらない所??」
「やっぱり変わってるわ。」
でも、ロイヴィアはその言葉を気にしたことがありません。好きなことは好きでいい。噂が広まったとき、お父さんが言ってくれた言葉でした。ロイヴィアにとってその言葉は魔法の言葉でした。
町から外れ、少し進むと深い林にぶつかります。慣れないと分からないのですが、そこには大きな門のある場所があります。ロイヴィアは何度も来ているので、まっすぐに門へ向かい、遠慮なしに開きました。
ギギギ...と、不気味な音をたてながらそれは開きます。
しかしロイヴィアはこわがらずに足を踏み入れます。奥に見える建物はまるでお化け屋敷なのに、この小さな女の子は臆せず進むのです。
門を通ってから約10分後、そのお化け屋敷に辿り着きました。赤茶色の大きな扉には、蜘蛛の巣のついたライオンが取り付けてあります。まさに、お化け屋敷。おいで、というように扉が勝手に開きました。
「おーじーさーーん!!こんにちは!!」
「ああ、ロイ、来たのかね!」
おじいさんの声が少し遠くから聞こえます。
ロイヴィアはてってっと中央にある階段をかけあがりました。
階段を登った先には五つの扉がありました。左から、物語の部屋、伝記の部屋、管理人室、画集の部屋、そして、絶対に開けてはならない禁断の部屋。ロイヴィアは管理人室の扉を遠慮なく開き、大きな椅子に座る影に近寄りました。
「こんにちは!」
「おおロイ、お前は偉いねぇ毎回必ず本を返しに来て...。」
「うん、だってまだまだ読み足りないから、もっと借りたいの!」
「もうここにはお前さん以外来ないんだ...そのまま貰ってしまってもいいんだぞ?」
「えー、そうしたら貴方に会えなくなるでしょ?」
無垢な表情でまっすぐに言ったロイヴィア。この図書館の館長であるグレイロッドは、思わず頬を緩めロイヴィアの頭をくしゃくしゃと撫でまわしました。
「全くもう、お前さんは本当にいい子だな〜!」
☆☆☆*☆☆☆
character
グレイロッド
りんご村の図書館の館長。90歳のおじいさん。
ロイヴィアにデレデレ。
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作者名:冬花 | 作成日時:2017年9月17日 11時