ニフラーになった私

熟考 ページ31

…風邪は治った、けどね…。

私は、底知れない不安と恐怖で悶々としている。ニュートは私が風邪を引いている五日間の間全く寝ていないらしく、実に嬉しいといった表情でいそいそとベッドの中へ入っていった。私のせいで五日間寝ていなくて、ついさっきやっと寝ることができたニュートを起こすようなかわいそうなことはしたくない。

動くのも、ニュートを起こしてしまうかもしれない。だから、私ができることは動かずに考えることぐらいだ。


風邪の間は何かを考えていられるほど体の調子が良くはなかった。でも、体の調子が良くなった以上、考えることはそれしか浮かばない。

「ゲラート・グリンデルバルドの杖先から出たものは何か」

…毒…？

もし、あの時杖先から出た冷たいものが毒だったら今も私の体内に毒がまわり続けていることになる。

グリンデルバルドは私を殺しはしないと言っていた。でも、いつ気が変わるかわからない。もしかしたら、私に毒薬を注いで、私があの人に従ったら体内の毒薬を抜いて、従わなかったら……かもしれない。あの人は自分に付いてくる人は生かし、逆らう人は容赦なく殺す人だ。しかも、私はあの日の夜あんなにもハッキリ断った。ということは。

…死……？

そんなわけない。そんなわけない。思いっきりブンブンと頭を振って、嫌な考えを吹き飛ばす。頭を振ったときに、ふいにニュートと杖が視界に入った。

…そういえば、私の杖ってどこだっけ？

私はお腹のポケットに手を突っ込んで、杖を出した。が、ポケットの中からチャリンという音が聞こえてきた。





遅くなりましたが、5000,6000hitありがとうございます。皆様のおかげです。

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