Re:世界ノ再構築 (ページ3)

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01b.休息ノ場所ページ3

「ねぇ、4C。」

「んー？」

少しだけ眠たそうな、間延びした声で応える。2Bは4Cの腕の中でじっとしたまま会話を続ける。

「何故精神的メンテナンスを行うのに、こうする必要があるの？」

「あー、それはねー...。実は普通に手を繋いだりするだけでも、効果はあるんだけど...こうやって抱き合うことで、より高い効果を得られるようになるんだよー。」

「そうなのか...。」

原理はよくわからないが、確かに手を繋ぐだけよりも即効性がある気がする、と2Bは思った。

「それに...、」

4Cは2Bの頭に乗せていた顎を引いて、彼女の方へ顔を向けた。二人の目が合う。2Bの真っ青で綺麗な目がパチクリと開いて4Cをじっと見つめる。そんな2Bを(まるで猫のようだ)、なんて思いながら4Cは話を続けた。

「以前見つけた人類のアーカイブで知ったんだけど、人間は自分にとって大切な人を慰めたり守りたいと思った時は、こうやって抱き締めながら頭を撫でるものらしいよ。」

「大切な人...。」

「2Bは私にとって大切な人だから、つい人類の真似をしてみたくなったんだ。」

その言葉に2Bはほんのりと頬を赤らめて目を伏せた。4Cは2Bの様子を見て、満足そうにしつつ、抱き締める力を少しだけ強める。2Bもそれに応えるように4Cを抱き締め返した。

「...！」

2Bが4Cを抱き締め返してくることは、これまでに一度も無かった。一瞬だけ4Cは驚く反応を見せたが、すぐに嬉しそうな表情を浮かべた。

「2B...。」

「ありがとう…4C…。」

自分の前では素直に感情表現をしてくれる2Bを、4Cは愛おしく感じていた。これは4Cにプログラムされているからではなく、4C自身が持つ自我がそう感じているのだ。感情を持つことが禁止されていても、自分の持つこの気持ちは捨てることはできないだろう。

2Bのメンテナンス時間はもうすぐだ。メンテナンスが終われば、また記憶の消えた9Sと行動を共にし、監視しながら任務を遂行することになる。そんな残酷な世界に2Bを戻すまで、もう少しだけこのままで、と4Cは願う。