愛し愛され。振り振られ。【灰谷竜胆】

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「お待たせしました…」



こいつら飲むペース早すぎだろ！
もうボトル入れてくれよ！
この席に何回酒を運んだ事か…。


あの後、舌を舐めずり回し
「ごちそうさま」って、私を離した。


この席では、物騒なワードがドカドカ飛び交っていて、正直あまり来たくない。



「殺せやいいだろ」
「兄貴、落ち着けよ」



素早く退散⇒オーダー入る⇒酒を運ぶ
この無限ループ。


早く帰ってくんないかな…。


それに、先程のキスが良すぎて、あの男を見る度ドキドキが止まらない。


それに比べて、あいつは平然としてやがるけど！
この女たらしが！大事な人がいるくせに！



「お待たせし…ゲッ」
「あ？テメェ客になんだその態度」



もう何回目かもわからない、「お待たせしました」をかまそうとした時、部屋を見てギョッとした。


美形兄弟しかいない…。
二人は椅子の背もたれに肘を預け、入口に立つ私を見つめる。


お下げ、マジで口悪いな！



「オラ、酒持ってこい」
「ハイ…」



弟も負けてなかったわ！

向かい合って座る二人にお酒を渡し、
部屋を出ようと背を向けた。



グイッ。



「わわっ」
「来いよ」



こいつ、私の腕引っ張り過ぎじゃない？

竜胆は自分の片足に私を乗せて、
お腹辺りに腕を回し、ガッチリホールド。



「へぇ、普通にしてれや見れる顔だな」



兄貴が頬杖をついて、私を凝視。
プイッと顔を逸らすと、何故か楽しそうに笑ってる。



「美愛がヤキモチ妬くぞ、竜胆」
「かもな」



美愛…？
きっと竜胆の大事な人だよね？

竜胆を見ると、お酒を飲む度動く喉仏がすぐそばにあって、色気がダダ漏れ。



「んじゃ、俺帰るわ」
「おう」



え？まてまて。
お前も帰れよ！

願い虚しく、兄貴が出て行って、個室に竜胆と二人きり。



「竜胆は帰んないの？」
「今、生意気なガキ抱っこ中」
「ガキじゃないんだけど！」
「へぇ」



突然お尻を持ち上げて、
向かい合う体制に変えられ、パニック。


開いた足のせいで、スーツのスカートが捲れ上がり、慌てて裾を押える。



「見えちゃう…！」



腰を抱き寄せられ、より一層距離が近づいた。



「だから動くなよ」
「は…なして、」



ストッキングの上から足をなぞられ、
スカートまでを行ったり来たり。



「ガキじゃねぇんだろ」
「やめ、」
「俺と大人の遊びする？」



スカートの中に手が入り込んで、
その手を上から掴み、「やめて」と、目で訴えた。

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