愛し愛され。振り振られ。【灰谷竜胆】

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手放したくない。

誰にも渡したくない。

二番目でもいいから、傍にいてほしい。




……カッコ悪。俺。




「……んっ、りん、ど…？」
「起こしちゃった？」




薄っすら目を開けて、
俺の顔を見るなり、にぱぁって微笑んだ。




「いつもの竜ちゃんだ…」
「……竜ちゃんだよ」




可愛すぎだ、バカ。




「風邪引く」
「初めて会った日も言われたね」
「おいで」
「いいの？」
「なにが」
「竜ちゃんにさわ……っていい？」




律儀に俺の言った事を守るAに、
泣きたくなった。


だから一人、こんな寒い所で寝てたの？


俺が触んな、とか言ったから？




「ひでェ事言ってごめん」
「竜胆…」




世界一だいすきな女を
思いっ切り抱きしめた。


冷たい体を温めてあげたくて、
そのまま抱き上げ、寝室へ連れて行く。




「A、すきだよ」
「嫌いになってない？」
「それ、俺のセリフ」
「なんで！？」




ベッドに横になり、
細い腰を抱き寄せ、腕枕。


サラサラの髪を撫でながら、Aを見下ろした。




「俺が気付かないとでも思ってんの？」
「なにを？」
「最近おかしすぎ、お前」
「……どこが？」
「なんかコソコソしてんじゃん」
「……うーん、」




わかりやすく動揺するAに、
俺の心臓が、うるせぇくらいに、動き出す。



嘘だよな？


マジで、浮気してんの？




「おい」
「な、に？」
「目逸らしてんじゃねぇよ」
「そらしてな、」
「こっち見ろ」




顎を掴んで、無理矢理口を塞いだ。

苦しそうに顔を背けるAを
気にする事なく、執着に口内を犯す。



誰にもやらねぇよ。



どこの男だ？
殺してやるよ。



誰の女に手出したか、わからしてやる。




「りん、ど…っ」
「A…」




最後にチュッとして、
可愛い唇を解放すれば、肩で息するA。


涙目で俺を見上げ、唇を嚙みしめる。




「竜胆…、」
「別れ話なら聞かねぇぞ」




なんだよ、その申し訳なさそうな顔。

ひでぇ事したのは、俺なのに。




「おこ、らないで…っ」
「怒ってねぇから、泣くなよ…」




あー、またか。


俺って、こいつの事、
傷つける事しか、出来ねぇのかな。



指で涙を拭って、
そっと小さな体を抱きしめる。



俺の、大切な大切なA。



働かせたくないのも、
俺がいなきゃ生きていけねぇくれェに、
堕ちればいいって思ってるから。



かわいそうだな。



こんな男に気に入られて。

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