23 ページ23
____二日前。
Aから聞いた情報を、兄貴に話すと、
「こっちから出向いてやろうぜ♡」って、笑って言った。
下の奴らにも声をかけて、
杉山のアジトに乗り込んだ。
張り合いのない喧嘩。
倒れている大柄の男たち。
「さ、帰んぞ、お前ら」
兄貴の仕切りたがりにも、慣れた。
男たちに背を向け、歩き出す。
「あの女、嘘吐きやがって」
ピタリと足を止めた。
いつもなら気にならない、負け犬の遠吠え。
「なんのことだ」
杉山の前で、しゃがみ込む。
「中華屋の女だよ」
「A…?」
「灰谷どっちの女でもねぇとかほざきやがって」
嫌な汗が流れ始めた。
「女餌に、お前ら呼び出す予定だったのに」
「……あいつになんもしてねぇだろうな」
「あの女なら、美味しく頂いだぜ?」
男の胸倉を掴んで、引き寄せる。
杉山は、ニンマリ気味の悪い笑顔を浮かべ、
俺を挑発するように話す。
「無理矢理突っ込んだから、痛がってもがいてたなぁ」
思い出すのは、
腫れ上がった顔の、ボロボロなAの姿。
「痛みで意識失ってよぉ、その復讐にでも来たかぁ?」
そこから先は覚えてない。
何度も男に拳を振り下ろし、
兄貴に腕を掴まれて、見下ろした先には、血まみれの杉山。
「死ぬぜ?ソイツ」
「どうでも良くね?こんなクズ」
兄貴が笑って、警棒を振りかざした。
いつもなら、またいいとこ取りかよって言うけど、今日はどうでもいい。
腫れた頬、
眠れていないのか、目下に出来た隈、
泣きじゃくる可愛い顔。
こいつが、Aをあんなボロボロに…、ん?
“あ?なんだその態度”
“美愛に謝れ”
“挨拶は出来ねぇ、謝れねぇ、何様だテメェ”
あの日、俺がAに飛ばした言葉が蘇る。
こいつだけじゃない。
追い打ちをかけるように、俺が浴びせた言葉で、あぁなったんだ。
家に飛び込んで、
震えた小さな肩を、自分で抱きしめて泣いたの…?
感じた事のない苦しみに襲われる。
誰かを思って、胸が締め付けられるなんて、今まであっただろうか。
あー…、そっか、漸くわかったよ。
どうして、こんなにお前を気にかけるのか。
俺……、
お前の事が好きなんだ…。
自覚した瞬間、
どうしようもなく、Aに会いたくなった。
もしお前が、こんな俺を許してくれるなら、
好きだと伝えて、
小さな体を抱きしめ、生涯掴んで離さねぇ。
1142人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nori(プロフ) - いつ見てもほんとに面白くて泣けて最高にドキドキして何回も見返しちゃいます笑作者様がこのお話を作ってくれて読めてめっちゃ幸せです✨!お体気を付けてお過ごし下さい! (2023年1月7日 18時) (レス) @page38 id: 415de435f6 (このIDを非表示/違反報告)
matsuri(プロフ) - raaaaaaamさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます(T_T)♡春千夜くんバージョンお話思いついたら、ぜひ書かせて頂きますね♡ナイ頭フル回転で頑張ります(笑) (2021年11月26日 9時) (レス) id: 92d72416b1 (このIDを非表示/違反報告)
raaaaaaam(プロフ) - ふぉーー!素敵な作品すぎて気づいたらこんな時間に…⤴︎︎⤴︎︎ 同じバージョンよ春千夜も希望したいです(T ^ T)(T ^ T) (2021年11月26日 6時) (レス) @page45 id: c6906907ca (このIDを非表示/違反報告)
なる - テスト期間で完結してたの知りませんでした!おめでとうございます!!もう最後の最後まで最高に感動しました!二次作品も心待ちにしてます! (2021年11月13日 16時) (レス) @page44 id: ec50fd9b43 (このIDを非表示/違反報告)
マナフィ(プロフ) - 完結おめでとうございます!前作の蘭ちゃん編から読ませて頂いてます。竜胆のあまぁぁあい言葉にキュン超えてギュンギュンしました!番外編楽しみに待ってます!! (2021年11月9日 17時) (レス) @page44 id: c16e9a497f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:matsuri | 作成日時:2021年10月13日 17時