炭酸飲料 ページ12
私がAちゃんの自宅へ家庭教師として上がるとき、大抵の場合は飲み物が出てくる。
それは季節によって移ろい、秋は紅茶、冬はココアか珈琲、春は新茶、そして夏がやって来た。
大阪の夏は堪えるのか、何となく薄着が着たくなったのかは知らないがAちゃんは半袖になった。
腕白ぉ！細ぉ！
私が言えた義理ではないがそろそろ栄養失調がキていそうだ。
私を招き入れると、先上がっててと言い残して彼女はリビングの方へ消えていく。
私は未だ上がったことのないリビングだ。
それを尻目にとんとんと調子よく階段を登る。
調子いいのは音だけで、最近これだけで疲れてしまうのは一種の悩みである。
いつも開けられている彼女の勉強スペース(自室ではないらしい)に座り込むと、すたすたと階段を登る音。
「とわぽん、炭酸大丈夫な人だよね」
お盆に既に私専用となっているらしいグラスになみなみと注がれた炭酸飲料と相変わらず出される菓子類。
お盆を運んでくるのも慣れたもので、最初のころもたついていたAちゃんが懐かしいくらいだ。
「大丈夫です、むしろ好みの方ですね」
それはよかった、社交辞令的に呟いてAちゃんは座卓にお盆ごと置いた。
汗をかいているグラスに注がれている炭酸飲料には氷が浮かんでいた。
何も言わず真っ先に菓子に手を伸ばすAちゃんのグラスに入っているのは、色的にオレンジジュース。
「Aちゃんって炭酸系は飲むんです？」
「あまり飲まない、かな。
舌がぴりぴりして苦手かも」
首をかしげる彼女は恐らく飲まず嫌い。
これは矯正せねば！と自分の食わず嫌いを棚に上げて、飲んでみます？と自分のグラスを差し出すと、持っていたお菓子を手放して私のグラスを掴む。
久々に彼女の手がまともに働いているのを見た気がする。
そのグラスに彼女が口をつけた当たりで思い当たる。
あかん、これは俗に言う間接キスという奴では。
そんなこと気にせずにちらりと水面を舌で舐めて、Aちゃんは顔を顰める。
やばい、なにがってその小さい手と唇と赤い舌！
「やっぱりむり」
「そうかぁ」
答える自分の声が震えていないか心配になったところで、Aちゃんが教材を出してきたので救われた。
あかんあかん、関係ない所で意識しまくるとこだった。
その日1日、飲み物を飲む度に赤い舌を思い出してびくびくしていたのは私です！やっぱり阿呆！！
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ししのめ(プロフ) - るりねぇ(*￣∇￣*)さん» コメントありがとうございます！恋愛系の参考になれているかはちょっと自信ないのですが楽しんで頂けているようで何よりです。これからもこの2人をよろしくお願いします。 (2016年12月29日 18時) (
レス) id: 6cdb4f864d (このIDを非表示/違反報告)
るりねぇ(*￣∇￣*)(プロフ) - とわこさんとの絡みものすごい好きです！私は恋愛系書けないので、凄い参考になりますw (2016年12月29日 17時) (レス) id: 59abd8695f (このIDを非表示/違反報告)
ししのめ(プロフ) - なとりうむさん» コメントありがとうございます！！私関西の方に詳しくなく...申し訳ないです、訂正して参ります。すみませんでした。指摘は嬉しい限りですのでお気になさらず、読んで頂き有難いです。これからも楽しんで頂ければ幸いです。 (2016年12月27日 18時) (レス) id: 6cdb4f864d (このIDを非表示/違反報告)
なとりうむ(プロフ) - ×木になって○気になって 連投並びに誤植すみませんでした;; (2016年12月27日 18時) (レス) id: 99128e2a06 (このIDを非表示/違反報告)
なとりうむ(プロフ) - 何だか上から目線での指摘のようになってしまい本当に申し訳ございません、関西在住の者としてはどうしても木になってしまいまして…これからも更新頑張ってください、陰ながら応援しております。 (2016年12月27日 18時) (レス) id: 99128e2a06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ししのめ | 作成日時：2016年11月10日 18時
