薔薇―バラ―

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"やっと言えた"



今の私の気持ち




「ちょ、何これ」


ただ突っ立っている女性は成亮と私を交互に見た




成亮は今の私の言葉に一瞬驚いたが、すぐに普段の顔に戻り




「ぃぃよ」




そう言った




「今までありがとね、荷物まとめて出てくよ」



私なりに、彼に冷たく言い放ち、



部屋の扉を勢いよく閉め自分の部屋へ向かった



そして服や小物などを一気にｷｬﾘｰﾊﾞｯｸﾞに詰め込み
この家を出て駅に向かう




その途中で









私は泣き崩れた





周囲の目なんて気にせず、ただ嗚咽しながら泣いていた





"別れたい"その気持ちと"別れたくない"





2つの気持ちが入り混じって混乱していた私に、由愛がかけてくれた言葉


"別れないの?""私だったら別れる"



決心がついたと思った



私が別れを切り出して、成亮は止めてくれる人間ではないと分かっていた



でも、家に向かってる途中



どこかで引きとめてくれるんじゃないか って期待もしてた






優しい言葉を掛けてくれるんじゃないかと





けど、現実は残酷






家に入って、玄関に置いてあった女性の靴を見て



私の心は砕かれ、





"別れよう"



そう言った時、



すんなりと"いいよ"と言われて




私は最初から必要とされていなかった事が分かってしまった









色んな感情が交じって混乱し、泣きじゃくる私




こんな道端で女が泣いてるっていうのに、誰も声を掛けないんだね









世の中ってどうなってるんだろう








思考回路が段々悪い方へ進んでいたその時





私の腕がぐぃっと引っ張られ、そのまま人通りの少ない道へ連れてかれた








涙を拭い腕を引っ張っている相手を見ると





「ぇｯ…」









何処かで見た事のある顔だった









「…ま……増田…さん??」

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