【モブサイコ100】愛される。【短編集】 (ページ5)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:6,656 hit

スプーン　　　鈴木ショウ　② ページ5

それから私はなんでスプーンなんか持ち歩いていたのか正直に説明した。

「なるほどなー。A、超能力に憧れてんのか。でもな、残念だけど超能力ってAが思ってるほどいいもんじゃないぜ。俺はそれをよく知ってる。だからさ、わりーことは言わねーからもうスプーンなんか持ち歩いたりすんなよな。ということで、このスプーンは没収な！」

........え？は？ぼ、没収！？

まあ使わないしいいけど。

その日を境に私たちはこまめに連絡をとり、よく会うようになった。

会うたびにお互いのことについて尋ね合い、それこそ友達以上恋人未満って感じだった。

私の方は実は恋人、という域に踏み入りたかった。

でもショウはどうやら恋人の域に踏み入るつもりはないらしい。

相手が望んでないのに無理に強要するのも嫌だったので、私は我慢することにしていた。

そんなある日、いつも通り約束の場所で、約束の時間にショウが来るのを待ってた。

約束の時間が来た。ショウはまだ来ない。

おかしいな。ショウは絶対に約束を破ったりはしない。いつも時間ちょうどに来るのに.......

５分

10分

30分

約束の時間からどんどん時が過ぎてゆく。

結局私は3時間そこに居座っていた。

あたりも西陽がさし、肌寒くなってきた。

今日はもう帰ろう。

ショウは私を見捨てっちゃったのかな.....

私はショウのこと大好きだったのに。

それからショウが私の前に姿を現すことはなかった。

でも私はいつか必ずショウが迎えにきてくれると信じていた。

調味市に神樹ができたのはそれから数日後のこと。

私は今日もその神樹を見ながらショウが来るのを待っている。

私はショウを待ち続けるよ。

今ショウはどこにいるのかな。

ショウもこの神樹を見ているのかな。

その時ショウはAのスプーンを握りしめ神樹を眺めていた。Aのことを想いながら。

ごめんな、A。でもこれもお前のためだったんだ。

いつかまた絶対お前を迎えに行くから必ず待ってろよ！！

二人がそんなことを考えている間にも神樹は調味市の地の下で着々と根を伸ばし続けていた。

(迷作.........)