【モブサイコ100】愛される。【短編集】 (ページ4)

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スプーン　　　鈴木ショウ　① ページ4

私は調味市の塩中学校に通っている。おんなじクラスの影山茂夫君は超能力が使える、俗にいう超能力者らしい。

私はとても超能力に憧れていた。超能力以上に素敵なものなんてあるだろうか。

この前影山君に頼んで超能力でスプーンを曲げるのを見せてもらった。

私が実際に、目の前で超能力を目にするのはそれが初めてだった。

その日から私の超能力に対する憧れは強まる一方だった。

私は毎日スプーンを持ち歩いた。誰にも知られずに密かに超能力を信じ、わずかな、ほんのわずかな希望を胸にスプーンをひたすら睨み続けるというなんともシュールな日々が続いた。

そんな日々が始まって早１週間が経っただろうか。ある日曜日。

私はその日もいつも通りジーンズのポケットにスプーンをつっこんで近くのデパートに来ていた。特に用事があるわけじゃないが、家の居心地も良くないし。いい気分転換だ。

とりあえずトイレに向かう。

個室に入ってポケットを探る。

「あれ.....?」

.......ポケットに入れたはずのスプーンがない？

私は急いでトイレを出て、デパートから出た。

来た道を戻る。

どこに落としたのだろう、と地面をよく見る。

道にスプーンを落とすなんて恥ずかしくて言えないや.....誰も見つけてませんように....！

そんなことを考えながら歩いていたら、

ｺﾞﾂﾝｯ!!!!!!

「....ってーな...おい、大丈夫か？」

そこには真っ赤な髪に綺麗なブルーの瞳の男の子が立っていた。

その人の手には....

「スプーン！！！！」

なんというかとだろう.....私が落としたスプーンがバッチリ握られていた。

恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい！！！

私が落としましたーなんて言えないし！

そんなこんなで一人でオロオロしていると、

「ん？これお前の？なんでスプーンなんか持ち歩いてるんだ？変わったやつだな！」

か、変わったやつ....恥ずかしいことこの上ない。

顔を真っ赤にしてそのまま突っ立っていると、その子が、まあとりあえずこんな時間だし一緒に飯でも食おう！と言ったので私たちはとりあえずご飯を食べに近くの店に入った。

お互い初めてなのでとりあえず自己紹介をした。

相手の名前は鈴木ショウ。あんまり詳しいことはわからなかったけど、とりあえず私と同じ13歳であることはわかった。

それから私はなんでスプーンなんか持ち歩いていたのか正直に説明した。