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内緒のブランチ・密side ページ3

密side





Aが差し出した1口分のホットケーキを、ぱくりと食べる。
…おいしい。

ほんとは、至以外にこんな事していいの?って聞こうと思ったけど、Aはあんまり難しいことを考えてなさそうな顔をしてたし、何より目の前のホットケーキが魅力的だったから、オレも深く考えないで食べた。

あとから気づいたのか、Aは慌ててた風な顔をしたから、ちょっと面白くなって揶揄ってみる。


「…間接キス、至には内緒だね?」


この前見たドラマで出てきたような、無垢な女の子を誑かす悪い男をイメージして、ニヤリと笑う。
そしたら、Aは目に見えて真っ赤になった。


「えっ、いや、あの、私そんなつもりじゃ!」

「そう?」

「そうです!!」

「……」


じっと彼女の目を見つめると、その双眸からは色んな感情が読み取れた。
動揺、羞恥、混乱、罪悪感、緊張…ここまでわかりやすいと面白い。オレは役を演じるのをやめて、緩く笑いかける。


「嘘。Aが面白かったから、ちょっと揶揄っただけ」

「な、なんだ…。ほんとにびっくりしたんですからね!?役者の本気怖すぎる…心臓に悪い…」


Aは肩の力を抜いて、椅子の背もたれにもたれ掛かった。
安堵と安心と脱力感。ほんとに分かりやすくて、いっそ心配。

…オレみたいなのに考えてることを見透かされたら、末永く玩具にされちゃうのに。


「はぁ、密さんって本当に凄いですよね。演技だって分からなかったです」


偽りない目で笑いかけられて、ちょっぴり加虐心が疼いた。


「うん、Aとの秘密ができたのはほんとだから。今日は、それで我慢する。」

「……え?」

「また、食べさせてくれるでしょ?今日みたいに」


“今日みたい”と強調して薄ら笑えば、Aはまた表情を浮き彫りにする。
ドキドキと、心臓の音が聞こえてきそうだった。


「また!また揶揄うんですか!?…え、冗談ですよね!?」

「…そうかもしれないし、違うかも」

「なんですか、それ!ほんとに狡い!」

「じゃあ、オレ寝るね。おやすみ…ぐぅ」

「えっ、寝るのはっや!」


もう、とか、演技だよね、とか、ぶつぶつ言いながらAが食器を片付ける音を聞きながら、オレは眠り落ちる。

…でも、また食べさせて欲しいのは、ほんと。…かも。

言い間違いシリーズ〜和食編〜(シリーズ化するとは言ってない)→←内緒のブランチ



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涼風音欧(プロフ) - すすさん、コメントありがとうございます。そう言って貰えて嬉しいです!不定期ですがこれからもお付き合いください! (2021年2月5日 9時) (レス) id: 8feba5476c (このIDを非表示/違反報告)
すす(プロフ) - ほんとにこの作品好きです!更新頑張ってください! (2021年2月4日 0時) (レス) id: 3c8d12b151 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:涼風音欧 | 作成日時:2021年1月25日 5時

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