内緒のブランチ ページ2
「でも、まずはご飯だよね！腹が減っては戦ができぬ！！」
私は嬉々としてキッチンに向かい、臣さんが用意してくれたらしいホットケーキを温める。
…なんだか最近、朝ごはんを臣さんに頼りっきりな気がしてきた。いくら臣さんのご飯が美味しくても、彼にばかり毎日作らせるのは申し訳ない。…私ももっと頑張らないと。
気合を込めてレンジのスイッチを押すと…
「それ、何？」
「わっ！」
突然真後ろから声がして、素っ頓狂な声を上げてしまう。
「ひ、密さん…！びっくりした…」
「…なんか甘い匂いがしたから」
「ええっと、私アサシンとかじゃないので、もうちょっと気配出して貰えると助かるんですが…」
「…頑張る」
密さんはそう答えたけど、いつも通りふわふわした雰囲気を崩さない。これが舞台に立つとガラリと変わるから、本当にすごいと思う。
「甘い匂い、ってホットケーキですかね？少し多めに作り置きがあったので、密さんも食べますか？温めますよ」
「うん、食べる」
和やかな空気の中で、2人分のホットケーキを温める。ナイフとフォークを準備して密さんの前に並べると、ありがとうと微笑まれた。
「それじゃ、いただきます！」
「いただきます」
私はたっぷりの手作りいちごソースをかけて、1口大に切ったホットケーキを口に運ぶ。
「ん〜！おいしい！」
ホットケーキの優しい甘さと、いちごソースの甘酸っぱさが絶妙にマッチ。口の中でハーモニーを奏でている。
「おいしい。やっぱり臣はすごい」
密さんもチョコレートをかけたものを美味しそうに頬張っている。
「ねぇ、Aのも一口ちょうだい？いちごも食べたい」
「いいですよ！はい、あーん」
…はっ、しまった！
普段至さんやいづ姉がしてくれるように、自然な流れであーんを強要してしまった。
こんなことを成人男性である密さんにやってしまうなんて、本当にまずい。恥ずかしすぎるし、普通に失礼だ。
「ご、ごめんなさ、」
急いで手を戻そうとしたものの。
＿ぱく。
密さんは全く意に介さず、差し出したホットケーキを食べてしまった。
「うん、こっちも美味しい」
ケロッとした顔で彼が言う。そういえば密さんは、普段から東さんや誉さんに、マシュマロをあーんされている。私のこれも、それと同じことなのだろう。
なんだ、そういう事か、と息をついたのも束の間
「…間接キス、至には内緒だね？」
密さんは悪戯に笑った。
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涼風音欧(プロフ) - すすさん、コメントありがとうございます。そう言って貰えて嬉しいです！不定期ですがこれからもお付き合いください！ (2021年2月5日 9時) (
レス) id: 8feba5476c (このIDを非表示/違反報告)
すす(プロフ) - ほんとにこの作品好きです！更新頑張ってください！ (2021年2月4日 0時) (レス) id: 3c8d12b151 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涼風音欧 | 作成日時：2021年1月25日 5時
