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青年に着いてパーティーホールの一角に向かえば、カーテンの裏に通路が隠されていた。
「こちらです」
『ありがとう』
薄暗い通路を進めば少し開けた空間に出て、むわっと麝香の香りが鼻腔をついた。
光の刺さない広間にはロウソクがいくつか点在し、ぼんやりと周囲を照らすのみ。
視界も不明瞭なそんな空間で、何組かの男女が抱き合っておぼつかない足取りでワルツを踊っている。
奥にある衝立の向こうからは、甘い嬌声が上がっていた。
『……まぁ』
思わず口元を抑えると、青年がくすくすと笑った。
「お嬢様には刺激的すぎましたか？でもご安心ください。直ぐに恥じらいも、躊躇いも……全て忘れて楽しくなりますから」
そう言って、青年が差し出してきたのは白濁した液の入った注射器だった。
「これを使えば、あなたにも素敵な世界が見えるでしょう。煩わしい世間の事など忘れ、享楽に身を預けるのもまた一興ですよ」
先程までまともに見えた青年の目が、ドロリと鈍く澱んだ。
『っ……』
恐らく、これが件のクスリだろう。
取引だけでなく、服用者向けの表沙汰にできない社交を開催していたとなれば……大臣は完全に黒だ。
あとは私が、このクスリを持ち帰れば……
「どうしたんです、さぁ早く」
『ぅっ！？』
突然、青年に腕を捕まれ、剥き出しの肩にその針を刺される。
『い、痛っ……！』
「何を拒むことがありましょうか？こちら側の世界は、こんなにも綺麗だと言うのに」
液体が注がれるのを感じ、半狂乱になって声を上げる。
「さぁ、僕と踊りましょう。いずれ体が熱くなってくるはずです」
愉悦の見え隠れする瞳から逃れるために、思いっきり青年の脛を蹴る。
「っ！？待てっ！」
彼が怯んだ隙に、その手から注射器を奪い取り、来た道を全速力で駆け戻る。
早くゾムの元に戻って、この件を報告しなくては。
優先事項としては、裏の宴会場にいた人物のリストアップと、大臣の動きも封じておかねばなるまい。
あと、それから……
『んっ……』
不意に体が熱くなり、その場に倒れ込む。
あぁ、クスリが回ってきたんだ。青年がそんなようなことを言っていた。
でも、折角証拠を掴んだのに、こんなところで蹲っていたらダメ。
『……行かなきゃ、早く』
思考とは裏腹に息が上がり、下腹部が熱くなる。
気の狂いそうな熱の波動に、意識が遠のきかけて……
「お嬢！」
よく耳に馴染んだ声が、私の意識を引き戻した。
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かれーるぅ。 - 涼風音欧様！番外編のリクエストを受けていただき、ありがとうございます！できれば、grさんとosさんでお茶会ってできますか？できればでいいのでお願いします！ (8月24日 19時) (
レス) id: b3274f6834 (このIDを非表示/違反報告)
涼風音欧(プロフ) - 夢崎咲さん» コメントありがとうございます！書かせていただきます！ (8月5日 21時) (レス) id: d3245f1ebf (このIDを非表示/違反報告)
夢崎咲 - zmさんと暗躍してほしいです！もしよろしければおねがいします。 (8月5日 7時) (レス) @page4 id: c31cf4a45c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涼風音欧 | 作成日時：2023年8月3日 21時
