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「こちらが会場です。どうかごゆっくり、お楽しみください」


大臣に案内されたパーティーホールでは、確かに豪勢な夜会が催されていた。

……しかし、私たちの狙いは別にある。


『……選ばれた客だけが通される、裏の宴会場があるはずよ。私は高位貴族をマークするから、ゾムはそれ以外を見張って。特に大臣と繋がりの深い者たちは注視しなさい』

「了解」


事前の調べでは、クスリの取引は大きなパーティーの裏で行われているらしい。
今回の夜会も大規模なものだから、取引が行われていてもおかしくないと踏んでの潜入だった。


ゾムと別れて、私はひとりで会場を回る。

怪しい動きをするものがいればすぐにでも声を掛けられるように、目を光らせながらドリンクを飲むふりをする。


「失礼、麗しいお嬢様、おひとりですか?」


不意に声をかけられ、そちらを見れば、見知らぬ青年がニヤニヤと笑いながらそこに立っていた。

私の顔を知らないのなら、下級貴族か、勢いのある豪商の子息か……“社交の場において、身分の低い者は、身分の高い者に自分から話しかけてはならない”という貴族社会のルールを知らないことを考えれば、後者である可能性が高い。


『えぇ、そうなの』

「それなら、僕と過ごしましょう。こう見えても顔が広いんです。きっとあなたを退屈させません」

『そう?それなら、しばらくお相手して頂こうかしら』


身分が低いにも関わらず、物怖じしないこの雰囲気。
その自信を裏付けるのは、もしかすると大臣の後ろ盾かもしれない。

そうなると、この青年がクスリの取引について知っている可能性は……高い。

青年と他愛のない話をしながら、それとなく会話を誘導していく。


『ねぇ、そう言えばご存知かしら。このパーティーって、夜会がメインじゃないみたいなの』

「っ、ご存知なのですか?」


ほんのりと取引のことを匂わせれば、青年は分かりやすく顔色を変えた。


『本当のメインイベントって何なのかしら。私、気になってしまって……もしご存知なら、どうかこの私にだけ……こっそり教えてくださいまし』


ここで母直伝の可憐な令嬢スマイルを炸裂させる。

母は元伯爵令嬢ながら、この令嬢スマイルで当時公爵令息だった父を射止めたらしいので、効果は実証済みだ。
問題は、悪役令嬢フェイスの私が使うと、可憐な、と言うよりは扇情的な感じになってしまう所だけ。


「っ……もちろん、あなたが望むなら」


青年は頬を紅潮させて頷いた。

*→←zm:潜入



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かれーるぅ。 - 涼風音欧様!番外編のリクエストを受けていただき、ありがとうございます!できれば、grさんとosさんでお茶会ってできますか?できればでいいのでお願いします! (8月24日 19時) (レス) id: b3274f6834 (このIDを非表示/違反報告)
涼風音欧(プロフ) - 夢崎咲さん» コメントありがとうございます!書かせていただきます! (8月5日 21時) (レス) id: d3245f1ebf (このIDを非表示/違反報告)
夢崎咲 - zmさんと暗躍してほしいです!もしよろしければおねがいします。 (8月5日 7時) (レス) @page4 id: c31cf4a45c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:涼風音欧 | 作成日時:2023年8月3日 21時

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