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見よう見まねで体を動かしながら、ちらりとショッピの方を見れば、彼も楽しそうに踊っていた。
「さすが、覚えが早いですね」
『あなたのリードが上手いのよ。手慣れてるわね』
「まさか。まともに踊ったのは初めてやで」
『あら、ふざけて踊ったことはあるみたいな口振りじゃない』
「聞きます？冷やかしのためにチーノと全力で乱入した話」
『そんな事だろうと思った』
クスクスと笑いながら、回って、回って、ショッピの腕の中に戻ってくる。
ショッピは私の体を優しく抱き留めると、悩ましげにため息をついた。
『どうしたの？浮かない顔』
「……ねぇ、Aさん、俺と逃げません？」
『……え？』
ショッピが私を抱き留める腕に力が籠る。
「今の俺ならAさん1人くらい養えるし、Aさんやって、あんな窮屈な身分に囚われんで良くなるし。WinWinやろ？」
『……そう易々と逃げられるわけないでしょ。私は公爵令嬢で、皇太子殿下の婚約者。それが私の価値であり、使命なのよ』
「そんなんおかしいやろ。
俺は公爵令嬢でも、皇太子の婚約者でもなくて、Aさんが欲しいんです。でも、地位も名誉も何も無い俺がアンタと一緒にいることを望むなら、もう拐うしかないんや。
だから、俺を選んでください、Aさん」
切なげな声が耳元に落ちる。
私はショッピのアメジストの瞳を見つめて、少し逡巡してから、
ピン！と彼の額を指で弾いた。
『バカね。あなた、私の元で働きたいんでしょ？私が地位を失ったら、誰があなたにお給金をあげるのかしら？』
「俺は……そんなものよりも……！」
『人の話は最後まで聞くものよ。あなたが私に仕えると言うのなら、私は死ぬまであなたを離してあげない。この私が、優秀な人材を……大事な友達を、みすみす手放すと思って？』
私が笑うと、ショッピも毒気を抜かれたように眉尻を下げた。
「……思いません。Aさんって、強欲やし」
『聞き捨てならないけど、そういうこと。私はあなたを繋ぎ止められるだけの地位に君臨し続けるから、あなたは私に相応しく在り続けなさい』
高慢に言ってみたが、所詮私は悪役令嬢である。
いつこの地位を追放されるとも分からないので、ここで少しだけ、保険をかけておくことにする。
『……でも、もし私が全てを失って、それでもあなたが私を望んでくれるなら……その時は、攫ってくれてもいいのよ』
我ながら狡い言い草だが、ショッピはどこか嬉しそうにしていた。
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かれーるぅ。 - 涼風音欧様！番外編のリクエストを受けていただき、ありがとうございます！できれば、grさんとosさんでお茶会ってできますか？できればでいいのでお願いします！ (8月24日 19時) (
レス) id: b3274f6834 (このIDを非表示/違反報告)
涼風音欧(プロフ) - 夢崎咲さん» コメントありがとうございます！書かせていただきます！ (8月5日 21時) (レス) id: d3245f1ebf (このIDを非表示/違反報告)
夢崎咲 - zmさんと暗躍してほしいです！もしよろしければおねがいします。 (8月5日 7時) (レス) @page4 id: c31cf4a45c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涼風音欧 | 作成日時：2023年8月3日 21時
