＊ ページ2
街の中でも一際賑わう通りには、道端にたくさんの露店が並んでいる。
「それにしたって賑わいすぎな気もしますけど」
果実水の店の前で、ショッピがポツリと呟くと、店主らしい恰幅の良い男性が笑った。
「なんだ、兄ちゃんたち知らねぇのか。今日は花祭りの日だぜ。掻き入れ時だ、店の連中も気合いが入るってもんさ」
『花祭り？』
「そうさ、ここらじゃ有名な祭りだよ。お嬢ちゃんは初めてかい？」
『えぇ、そうなの』
「そうかい、それなら楽しんでいくといい。兄ちゃんも、こんなに可愛い子と祭りに出るなら気張らねぇとな！」
ガハハ！と笑って、店主が2人分の果実水を手渡してくれた。
『お祭りの日だったのね。いいタイミングじゃない、遊んでいきましょうよ』
「あー、俺は良いっすけど……花祭りって確か……」
『っ、ショッピ、あっちで小さい子たちが花を配ってる！行くわよ！』
少年少女達が配っていたのは、白、ピンク、黄色の3種類の花だった。
花籠を持った少女は、私とショッピを見て少し悩んだあと、「お姉ちゃんたちはピンクだね」と2本のピンクの花をくれた。
『ありがとう。ところで、どうして私たちはピンクだったの？』
街を見渡せば、他の色の花を持っている人をちらほら見かける。
「あのね、白は家族の花なの。友達は黄色で、恋人はピンク。二人の関係がエイゴーに続きますように、ってお願いするの」
嬉しそうに語る少女に、顔を引きつらせる。
少女から見ると、私たちは恋人同士に映っているらしい。
実態は迷子防止で手を引かれているだけなのだが。
「ッ、ははっ、そんな顔せんでも、俺はAさんの傍にいますよ、永劫に」
『私の家に雇われる気満々の男に言われると説得力が違うわね』
少女に礼を言って、そのまま2人で街を歩く。
時折目を引かれた露店に入って買い物をしていれば、あっという間に夜が来てしまった。
「中央の広場ででかい催しがあるらしいんすけど……行きます？」
『当然よ、せっかくなら楽しみ尽くしたいわ』
私が頷けば、ショッピは「そう言うと思いました」と笑って広場へと連れていってくれる。
そこでは噴水の隣に大きな篝火が焚かれ、その周りでピンクの花を身につけた男女がくるくると踊っていた。
『フォークダンスって初めて見たわ』
「踊れそうですか？」
『え？』
「俺達も行きましょ、せっかくなら楽しみたいんやろ？」
悪戯に笑うショッピに連れられて、広場の真ん中に躍り出た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 41人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かれーるぅ。 - 涼風音欧様！番外編のリクエストを受けていただき、ありがとうございます！できれば、grさんとosさんでお茶会ってできますか？できればでいいのでお願いします！ (8月24日 19時) (
レス) id: b3274f6834 (このIDを非表示/違反報告)
涼風音欧(プロフ) - 夢崎咲さん» コメントありがとうございます！書かせていただきます！ (8月5日 21時) (レス) id: d3245f1ebf (このIDを非表示/違反報告)
夢崎咲 - zmさんと暗躍してほしいです！もしよろしければおねがいします。 (8月5日 7時) (レス) @page4 id: c31cf4a45c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：涼風音欧 | 作成日時：2023年8月3日 21時
