話聞いてました？ ページ10
処置の一環、という風に言われてしまえば、患者の私に言い返せることなどない。
『本当に何もしないでくださいね、約束ですからね！？』
「俺は患者には手を出さねぇ。何度言わせればわかるんだ。……それがAなりの誘い文句だってんなら話は別だがな」
『話聞いてました？』
不安しかないが、ローは仮にも私の主治医だ。
ひとまずは彼の言葉を信じてみようと思う。
私が渋々彼の出した条件を呑むと、ローは満足気に頷いた。
「聞き分けのいい奴は嫌いじゃねぇ。
あと数時間もすれば、この島から出航する。飯と就寝前のカウンセリング以外の時間なら、船内で好きに過ごしていて構わねぇが、手術室にだけは入るな。それから、下手に海軍に連絡を取るような真似はするなよ？」
『…やっぱり駄目ですか』
「当然だ。軍艦にあった電伝虫は没収したが……他になにか連絡手段があるのなら、隠さずに言え」
『隠したりなんてしませんよ。仮に隠したところで、あなたの能力で取られちゃうでしょう』
そう言いながら、ぼんやりとセンゴクさんたちの顔を思い出す。
任務にあたって早々に連絡が取れなくなるだなんて、私はなんて無責任な人間なんだろう。
もしもローの元から無事に離れられても、私の帰る場所なんて……
『はぁ……』
「おい、また余計なことばかり考えてるだろう。俺は楽しいことだけ考えてろと言ったはずだぞ。今のお前は海軍じゃねぇし、ましてや将校でもなんでもねぇ。傍から見りゃ、ただの下っ端海賊だ」
ローはそう言いながら、わしゃりと私の頭を撫でた。
『ろ、ローさん？』
「俺はテメェの事情なんざ知らねぇし、今後介入する気もねぇが……患者が泣きそうなツラしてたら、傍で話を聞くくらいはしてやる。あまり抱え込むな」
そのぶっきらぼうでありながらも優しさに満ちた言葉に、強ばっていた体からスっと力が抜けた。
『……ありがとうございます、頼らせて貰いますね』
「っ、あぁ」
足元に落ちていた視線を上げ、ローの顔を見ながら微笑む。
感涙を零しそうで、上手く笑えたか分からないが、ローが返してくれた慈愛の滲む微笑に心が浮上した。
＊＊＊＊＊＊＊
作者です
長らく空けてすみませんでした！
これからまた更新します。(多分)
ゆっくり付き合ってくれると嬉しいです〜
元の造形を一晩でどうにかしようとするな→←物置とかでいいので部屋をください！
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早桃 - んもー！めっちゃ好きです〜！！無理せず更新頑張ってくださいねぇぇぇ！応援してます！ (2022年10月20日 21時) (
レス) @page9 id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
はるふ(プロフ) - 神作見つけてしまった😎これから応援しています🫡 (2022年10月20日 20時) (レス) @page9 id: 1cfa02e0c5 (このIDを非表示/違反報告)
涼風音欧(プロフ) - サメ好きさん» コメントありがとうございます！そんな風に言ってもらえるなんてとても嬉しいです、気長にお付き合いください！ (2022年10月20日 0時) (レス) id: d3245f1ebf (このIDを非表示/違反報告)
サメ好き - ものすごく面白かったです！文が見やすく情景が浮かびやすいのでめっちゃ好きです。更新待ってます！ (2022年10月18日 23時) (レス) @page7 id: c06f6fba38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涼風音欧 | 作成日時：2022年10月16日 3時
