物置とかでいいので部屋をください！ ページ9
久しぶりにおなかいっぱいまでご飯を食べてから、一息ついた後、私はシャチとペンギンに案内されてローの居室へ向かった。
『ローさん、私です、Aです』
「あぁ、入れ」
ノックをし、中から返事が返ってきたのを聞いてから扉を開けると、そこはベッドと机、ぎっしり本が詰まった本棚以外は家具のない、あまり生活感の感じられない部屋だった。
ローは机に向かって本のページを捲っていたが、私が室内に入るとパタリと本を閉じた。
『食事、ありがとうございました。美味しかったです』
「飯の味が分かるなら良い。重症化すると味覚にも影響が出るし、五感の情報伝達もままならなくなるらしいからな」
『はえぇ……』
「……要は飯が美味いってのも分からなくなるんだ」
『なるほど！それは……嫌ですね』
先程食べたご飯を思い出し、もしその味が分からなくなったら人生の楽しみが半減するだろうと考える。
「おいしい」と思う気持ちも、それを誰かと共有することも、一度知ってしまったら失えない幸せの要素だ。
「そうなりたくなきゃ、暫くは食べることと寝ること、楽しいことだけ考えて過ごせ。それがテメェに出せる一番の薬だ」
『いや、そんなの申し訳ないです！海賊に利する行為をしたらいけない気もするけど、船に置いてもらう以上は掃除とかの雑用くらいは任せて欲しいって言うか、何もしないのは落ち着かないって言うか……』
「うだうだ考えるな。俺の言った通りにしてりゃ重症化のリスクはねぇ。礼がしてぇってなら完治してから考えろ」
『ア、アイアイキャプテン』
気圧されるようにして返事をすると、ローはふっと笑みを零す。
「Aにそう呼ばれるのも悪くねぇな。偶然だったが、いい拾い物だった」
『私はモノ扱いですか……』
「いや、ペットみてぇなもんだ」
『普通にそれも酷い』
私がため息をつくと、彼は喉を鳴らして笑う。
「あぁ、それから、寝泊まりはこの部屋でしろ。ベッドは使って構わねぇ」
『は！？ここ、って……ローさんの寝室でしょう？』
「そうだ」
『そうだ。じゃないですよ！仮にも私、年頃の女の子なんですけど！？物置とかでいいので部屋をください！』
私が猛抗議すると、ローはうるさいと言わんばかりに眉を顰める。
「誰もテメェみたいなガキ、襲ったりしねぇよ。望むなら吝かじゃねぇが。
……そもそもこれは処置の一環だ。朝晩の気持ちが滅入る時間帯にテメェをひとりにして、あっさり死なれた方が困る」
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早桃 - んもー！めっちゃ好きです〜！！無理せず更新頑張ってくださいねぇぇぇ！応援してます！ (2022年10月20日 21時) (
レス) @page9 id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
はるふ(プロフ) - 神作見つけてしまった😎これから応援しています🫡 (2022年10月20日 20時) (レス) @page9 id: 1cfa02e0c5 (このIDを非表示/違反報告)
涼風音欧(プロフ) - サメ好きさん» コメントありがとうございます！そんな風に言ってもらえるなんてとても嬉しいです、気長にお付き合いください！ (2022年10月20日 0時) (レス) id: d3245f1ebf (このIDを非表示/違反報告)
サメ好き - ものすごく面白かったです！文が見やすく情景が浮かびやすいのでめっちゃ好きです。更新待ってます！ (2022年10月18日 23時) (レス) @page7 id: c06f6fba38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涼風音欧 | 作成日時：2022年10月16日 3時
