【ONEPIECE】海上メイドですが何か。 (ページ32)

今日:29 hit、昨日:13 hit、合計:46,749 hit

時計台の戦いページ32

宮前広場を爆破ってことは、それなりに大規模な砲弾が用意されてるはずだよね？
そんで、それを広場のど真ん中に打ち込もうと思ったら、高所取るのが定石だよね？

ということでやって来ました時計台。
広さも高さも申し分ないし、私が狙撃手ならここから撃ち込むね、だって格好いいもん。

螺旋階段を2段飛ばしで駆け上り、ババーンと頂上に到達すれば、そこにはトリッキーな格好の男女ペアが一組、同じくトリッキーな拳銃片手に待機していた。
予想は的中だ。

『うわ、見るからにMr.7っぽい！眉毛が7だ！おいお前ら！砲撃やめろ！』

取り敢えず敵であることは間違いないので、懐から取りだしたクナイを構える。
鎖国国家ワノ国のニンジャが使う忍び道具は、私の速さ重視の戦闘スタイルによく合うのだ。

「ねー聞いてMr.7、あたし思うんだけど、これって結構ピンチじゃない？」

「そういうスンポーだね、オホホホホ。でも、我々がこの重大任務を任された以上、失敗は有り得ないってスンポーだね！」

「うんうん！こんな奴10秒で片付けて、予定通り広場のど真ん中に撃ち込んじゃうの！」

そう言って、2人が銃を構えるが……遅い。
クナイを持ち直してその手から拳銃を弾き飛ばし、一気に距離を詰めて喉元に突きつける。

『やめろって言ってんの。分かるよね？』

「「ひ、ヒェッ」」

私だって、伊達に海を渡ってきているわけじゃない。
小娘と思って侮った時点で、こいつらの負けは確定していた。

『死にたくなければ私の言う通り動いて。まず、この爆弾を抱えて下に降ります。で、サンドラ河までダッシュで運搬、河底に沈めてこられたらヨシ。解放してあげます』

「そ、そんな！この爆弾で広場を吹き飛ばすのがあたしたちの……」

『そうですかそうですか、ここで喉元掻き切られて、悲鳴もあげられずに死ぬのがお望みだと』

「滅相もございませーん！」

砲身から砲弾を取り出す2人を後目に、懐中時計を開く。
現在時刻は4時28分、これで、最悪の事態は避けられたかな。

＿＿チクタクチクタク

『……ん？』

喧騒の中、耳に残るのは時計の針が時を刻む音。
時計台なのだから当然と言えば当然だが、それにしては何かがおかしい。

もっと近くで、小さな音が、確かに鳴っている。

『……まさか！』

およよ、と泣きながら抱きしめあうMr.7ペアから砲弾を奪取し、目の前の大きな鉄の塊を凝視しながら思う。
そこにある最低の現実が、夢であればよかったのに、と。