【ONEPIECE】海上メイドですが何か。 (ページ29)

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正義の矜恃ページ29

『ぷはーっ！死ぬかと思った！！』

激流に抗って泳ぎ、水面から顔を出せば、麦わらの一味も無事に海から這い上がってくるところだった。

ゾロがスモーカーを助けたのは意外だったが、ルフィの望みだと聞けば納得してしまう。
相手が敵とはいえ、ルフィが人を見殺しにするところは何となく想像できない。

「うおっ、けむり！！やんのかお前っ！！」

目を覚ましたルフィが拳を構えるが、スモーカーは少しだけ思案した後に「……行け」と返した。
それを聞いたルフィは「俺お前嫌いじゃねーなぁ！」と笑いながら、アルバーナを目掛けて駆け出す。

『じゃ、私もこれで……』

その期に乗じて私も走り出そうとすれば、グイッと首根っこを掴まれる。

「てめェはダメだ、珠代」

『どうして！？今のは爽やかに分かれるシーンじゃない！？』

「てめェが言ったんだぞ、自分は使用人だと。なら、俺に雇われろ」

『やー！残念だな！協力したいのは山々なんですが、まだ前の依頼主の契約期間中なんですよね！』

「なら掛け持ちしろ」

『そんな無茶な！？』

あれよあれよという間にお米様抱っこされ、スモーカーの肩の上で足掻いてみるも抜け出すことは出来ない。

『あ〜困りますお客様！使用人への暴行は！』

「そのうるせェ口を閉じろ。何も麦わらへの協力を止めるわけじゃねぇ。……海軍が掴んでいる情報をてめェに流す、それを持ってあいつらを追え」

『……それ、バレたら貴方の首が飛びません？』

「この国の騒乱がどう転んでも、海軍の体裁を保ちたい上層部はその場にいた俺を厳しく罰することなんて出来ねぇよ……なら、少しでもマシな可能性に賭けたいと思うのは、仮にも正義を名乗る人間としての矜恃だ」

そう言ったスモーカーの目は真剣そのもので、茶々を入れるのも憚られる。

『……そういう事でしたら、契約成立です。何なりと、お申し付けください』

「ハッ、調子の良いガキだ。俺は同行出来ねぇが、たしぎを付ける。上手く使え」

それだけ言うと、スモーカーは追いついてきたたしぎたちに指示を飛ばして去っていった。

「Aちゃん！無事だったんですね、良かった……」

『たしぎさん。昨日はごめんなさい、またお世話になります』

「驚いたけど、なにか理由があったんですよね？スモーカーさんから、あなたとビビ王女の関係は聞きました。反乱を止めるのなら私たちも協力しますから」

優しく笑うたしぎに、『ありがとう』しか返せなかった。