復活のMr.3 ページ27
そんな話をしているうちに、徐々に部屋の中の水位が増してきた。
「うおぉ、だめだ、力が抜けるぅ……」
殊更、能力者なのに高所に上がることもせず、水に足をつけたままのルフィにはだいぶキツそうだ。
「もうちょっと我慢しなさいよ！直ぐにビビが来てくれるわ……」
「クソ、俺にもっと剣の腕がありゃあ、こんな檻……」
水は太ももあたりまで迫り、水没の2文字が全員の脳裏を掠めた、その時だった。
「反行儀キックコース！！」
部屋の中を我が物顔で彷徨いていたバナナワニが、突然宙を舞う。
一瞬の出来事で、何があったのか理解するのに数秒を要した。
「オッス、待ったか？」
「「プリンス〜！！！」」
水しぶきの合間から現れたのは、スーツに金髪の若い男。
ルフィとウソップの反応から見るに、彼らの仲間で間違いないだろう。
「こいつらの内のどれかが、その檻の鍵を飲んだってことだな？」
「サンジ、とにかく時間がねぇぞ。秒殺で！瞬殺で頼む！」
「今……3番目に部屋に入ってきた奴を仕留めろ」
ウソップが男……サンジに説明をしていると、スモーカーがそう言った。
「「え？」」
「テメェらの耳は飾りか？……今の声、鍵食った奴と唸り声が同じだろ」
「「！？」」
言われた通り、サンジがバナナワニに攻撃すると、その個体はなにやら口から白いものを吐き出す。
しばらくするとその白い球体に罅が入り、なんと、中から一人の男が飛び出した。
「ドルドルボール、解除！」
「なにーっ！？」
『あれは、Mr.3！？』
クロコダイルにミイラにされたはずのMr.3が、ごきゅごきゅと水を飲んで、生き生きと話し出す。
「フフフ、クロコダイルめ……私を仕留めた気でいるようだが甘いガネ。私は食われる瞬間、最後の力を振り絞ってこのドルドルボールを作り出し、その中に身を隠していたのだガネ！……ん？」
Mr.3は、近くに落ちていた鍵を手に取り、檻の中に閉じ込められている私たちを見て、しばらく悩んだ後……
「「あぁっ！！」」
その鍵を遠くへ投げ捨てた。
なるほど、腐ってもバロックワークス社のオフィサーエージェントというわけか。
職務遂行への執心か、それとも1度負けたというルフィたちへの嫌がらせか……とにかく、最悪のタイミングで最悪なことをしてくれたものだ。
「テメェ……！」
サンジが攻撃しようとしたが、ウソップが制止の声を上げる。
「ちょっと待てサンジ！そいつの能力で、ここの合鍵作れねぇかな……？」
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作者名：涼風音欧 | 作成日時：2022年10月8日 3時
