Mr.プリンス！ ページ25
「まぁ、せいぜい頑張りたまえ」
クロコダイルが背を向けた、その時。
＿＿プルルルルル、プルルルルル
『電伝虫？』
バロックワークス社の連絡用であると思しき電伝虫が着信を知らせた。
「＿＿おい、通じてるのか？俺子電伝虫使ったことねぇんだよ……もしもし？
＿＿はい、大丈夫です、そのまま話せます」
「おい、さっさと用件を言え。何があった！」
「＿＿あぁ、その声。聞いたことあるぜ。
……え〜、こちらクソレストラン」
電伝虫の先で男がそう言った瞬間、ルフィたちは息を飲んだ。
電話相手は彼らの仲間らしい。
「クソレストラン……テメェ、一体何者だ」
「＿＿俺か？……俺は、Mr.プリンス」
「……そうか、Mr.プリンス。今どこにいる？」
クロコダイルは顔を顰め、それでもなおMr.プリンスという謎の男から情報を引き出そうとする。
「＿＿そりゃ言えねぇな。言えばおめー、俺を消しに来るだろ？」
おちょくるような声色で、Mr.プリンスはクロコダイルに喧嘩を売る。
なぜこう、ルフィの味方って命知らずなのが多いんだろう。
あ、類友？？
しかし、Mr.プリンスの調子が良かったのもそれまでだった。
通話先で銃声がしたかと思えば、別の男が話始める。
「＿＿もしもし！？……ハァ、ハァ……捕らえました！この妙な男、どうしましょう？」
それを聞いたルフィたち一行は、再び死にそうな顔に逆戻り。
ビビも膝から崩れ落ち、とてもMr.プリンスを助けに行けるような状態では無い。
クロコダイルはMr.プリンスを捕らえるべく、足早にレインディナーズの正面入口へ向かって去っていって、残されたのは葬式ムードの檻と、戦意を削がれたビビ、それから空腹で殺気づいたバナナワニ。
『……ビビ』
「……えぇ、わかってる。わかってるわ。今、私が動かなきゃ、何も救えない。全部無駄になる！
……でも、怖いの。私のせいでみんな捕まった、サンジさんもやられちゃった。これ以上誰かを巻き込んで、それでも反乱を停められなかったら、私は……っ」
ビビは自身を抱きしめるように腕を強く握って、絞り出すように叫んだ。
『……私は、親が死んだよ』
「……っ！」
『私を守ってくれた騎士も、召使いも、友達も死んだよ。殺された。
私は、何も出来なかった。子供で馬鹿な私は、みすみす愛する人たちを死なせた。
……でも、今のあなたは？少し手を伸ばせば、救えるものがあるでしょう。その手を引っ張りあげてくれる、仲間がいるんでしょう？』
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作者名：涼風音欧 | 作成日時：2022年10月8日 3時
