身バレは地雷です ページ22
「「「「ビビ！」」」」
現れたのは、この国の王女であるネフェルタリ・ビビだった。
「やァ、ようこそ。アラバスタの王女ビビ……いや、ミス・ウェンズデー。よくぞここまで来たな」
「来るわよ……どこまでだって……！あなたに死んで欲しいから！Mr.0！」
「死ぬのはこのくだらねぇ王国さ」
クロコダイルの一言に、ビビの端麗な顔が怒りで歪む。
「お前さえこの国に来なければ、アラバスタはずっと平和でいられたんだ！！」
彼女は懐から鎖状の刃物を取りだし、攻撃の構えを見せる。
だが、それは無謀というものだ。
『ビビっ！やめて、そんなことをしても何も変わらない！あなたの攻撃は、彼には通らない！』
私が声を張り上げると、ビビはこちらに気づいて動きを止める。
「あなたは……まさか、Aっ！？なぜ、あなたがここに！？あなたはこんな所にいていい人じゃないわ！」
『それはお互い様。それよりビビ、今あなたがすべきことは何？敵わない相手に刃を向けること？違うでしょ！』
「……っ」
『確実に勝てる方法を考えて。自分ひとりじゃ成し得ないことを成すには、何が必要？
……あなた、仲間がいるんでしょ』
仲間、という言葉に、ビビはハッとする。
そして深く頷いた。
「そーだぞ！ビビ！クロコダイルは俺がぶっ飛ばしてやるから、俺をここから出してくれ！」
ルフィが檻の中で吠える。
初めて会った時には、その猪突猛進さに些か引いたが、ビビのように色々考え込んでしまう子には丁度いい味方なのかもしれない。
それにしたって、そろそろ考え無しに海楼石に触るのはやめた方がいいと思うけど。
「くだらねぇ。スパイの次は仲間ごっこか。
……A、テメェまだ何か隠してやがるな。王女に説教垂れる使用人なんざ聞いたことがねぇ。テメェは一体何者だ」
『どうだっていいでしょう、そんなこと』
しばし、クロコダイルと睨み合う。
重たい沈黙が破られたのは、あぁ、そうか。という、ゾロの間抜けな声だった。
「思い出した。Aって、昔に消えたっていうどっかの国の王子の名前じゃねぇか」
「「「「「はぁ！？」」」」」
「何だA、おめー男だったのか！？」
『違うわ！……はぁ、もう。油断してた。若い人は知らないと思ったのに』
私が項垂れると、ゾロが言葉を続ける。
「確か13年前だったか？革命が起きたせいで、良い武器が回ってこなくなった、って賞金稼ぎのおっさん達が話してたのを聞いたことがある」
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作者名：涼風音欧 | 作成日時：2022年10月8日 3時
