確認 ページ3
まさか放火魔お兄さんが今回の依頼人だとは。
出会い頭からめちゃくちゃ失礼な態度とっちゃったけど大丈夫そ？チェンジとか言われない？？
『そっ、それは失礼。ポートガス・D・エース様、今回はご依頼ありがとうございます』
「いや、今更無理があるだろ……。俺も固ぇのは苦手だ、楽に話してくれ」
『そういうことなら遠慮なく。じゃあ早速、今回の依頼について聞きたいんだけど、いい？』
「あぁ、話が早くて助かるよ」
エースが頷くので、私は預かってきた書類に目を通す。
依頼の概要が載っているが、詳しいことは本人に聞かなくては完璧な任務遂行はできない。
『期間は1週間前後、明確な終了はその時に声をかけてくれるってことで合ってる？』
「あぁ。アラバスタには弟が来ているかもしれねぇんだ。そいつを探したいから、期間は前後する。悪ぃな」
『いいえ、全然。むしろ先に理由を言ってくれるだけ有難いよ。
依頼内容は、拠点の“掃除”……これは、読んで字のごとくってわけじゃないんでしょ？』
「俺は賞金首だからな。どうも狙われやすい。直接突っかかって来る分にゃ返り討ちにしてやるが……俺がいない間に拠点を狙われると厄介だ。そこで、その手の“掃除”が得意なAには俺の不在時に宿の番をして貰いてぇんだ」
ここで言う“掃除”とは、何も埃を掃いて雑巾がけするような掃除を指すわけではなく、厄介者の排除、もしくは撃退の意味だ。
海上使用人派遣協会には、海の荒くれ者たちからも依頼が来る。通称裏依頼ってやつだ。
必然的に荒事への対応が効く人員は一定数揃うことになるし、その中でもAの営業成績はトップだった。
つまるところ、Aはそこそこ強かった。
『裏指名ナンバーワンのAちゃんに任せなさい！って言いたいところだけど。白ひげ海賊団の隊長クラスの戦闘を期待されても無理だからね？私は善良な一般人であって、戦闘狂でもなんでもないんだから』
「そこは承知の上さ。命の危機を感じたら逃げたっていい。それで責めるようなことはしねぇよ」
『……随分良心的なんだね』
協会に依頼が来るということは、死んでも守るべき密書があるとか、どうしても海軍に動向を探られたくないとか、そういうことかと思ったが……どうもそうでは無いらしい。
エースはため息をついて、私の胸元をちらりと見てから呟いた。
「さすがに自分のせいでガキが死んだら寝覚めが悪いだろ」
『ガキ！？今どこ見ながら言った、おい！！』
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作者名：涼風音欧 | 作成日時：2022年10月8日 3時
