最終作戦と招かれざる客人 ページ17
「作戦が大詰めって時に侵入者だなんて、平穏じゃないわね。どういうことなの？」
「……場合によっては、ここで斬る」
『おいマジか』
見るからに腕の立ちそうな男が、ひときわ強い殺意を私に向けて放ってくる。
ミス・オールサンデーは可笑しそうに口元を歪めるだけで、それ以上何も言わないし、なにか弁明しないと私の命が危ない。
『いや、これには深ァい事情が……！』
「そいつのことはいい、俺が許可した」
私が口を開きかけると、今まで誰もいないと思っていた上座から、クロコダイルの声がした。
彼が姿を見せると、先程まで騒いでいた面々が息を飲む。
「クロコダイル……！？」
「さすがにご存知のようね」
「アンタが俺たちの社長なのか……？」
「不服か？」
圧倒的な強者のオーラに、全員が一様に黙り込む。
その様子を見て、クロコダイルはフッと笑みを漏らした。
「異議がないなら構わねぇ」
なるほど、ここに集まっているのは先程ミス・オールサンデーの言っていた秘密結社の幹部たちで、クロコダイルはそこのボス。
なおかつ初の顔合わせだったというわけか。
なんだよ、ほんとに秘密結社じゃん……かっちょいいじゃん……。
「ていうか0ちゃん、このちびっ子は誰なのよぅ！侵入者だなんて、許して良いワケェ！？」
「俺がいいと言っている……聞こえなかったか、Mr.2」
クロコダイルはそう言うと、自らの腕を砂にして移動させ、私の腰を抱いて引き寄せた。
『うぉ！？』
「おいおい、色気のねぇ悲鳴だな……。
とにかく、こいつには手を出すなよ？テメェらは今まで通り、任務の完遂だけを考えていれば問題ねぇのさ……。そう、この“ユートピア作戦”のな」
彼が作戦名を口にして、幹部たちも面構えが変わる。
……あぁ、そうか。
きっとこの作戦で、彼らはアラバスタを完全に乗っ取るつもりでいるんだ。
自然と私の体も強ばる。
その時だった。
「その“ユートピア作戦”、ちょっと待って欲しいガネ」
数字の3を象った頭の悪そうな……じゃなかった、エキセントリックな髪型の男が、大きな扉を開けて現れたのは。
「Mr.3……！あなたどうやってこの“秘密地下”へ！？」
ミス・オールサンデーの反応を見るに、どうやら彼は招かれざる客らしい。
しかしながら、Mr.3と呼ばれている時点で彼もまたこの秘密結社の一員ではあるのだろう。
……Mr.3だから頭に3乗っけてるの……？
美的感覚だいじょぶそ……？？
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作者名：涼風音欧 | 作成日時：2022年10月8日 3時
