地下室の会合 ページ16
『さてと。仕事しますか』
私はふかふかのベッドから飛び起きて、必要最低限の荷物をポケットに詰めてから部屋を出る。
クロコダイルに侍る許可は得た(と勝手に解釈した)ので、早速押しかけてやろうと思う。
ルフィと合流する前に、以下に情報を集められるかが肝なのだ。
『どこにいるかな』
カジノフロアは無いだろう。
さっきクロコダイルと共に入ったら、従業員や客らが驚いていたので、滅多に姿を現すことは無いんだと思う。
それなら、反対方向に行ってみようかな。
私は来た道とは逆の方向に進みながら、キョロキョロと当たりを見渡してみる。
すると、ひとつの人影を見つけることに成功した。
肩の辺りで切りそろえられた黒髪が美しい、ミステリアスなお姉さんだ。
私が思わず立ち止まって見つめると、その視線に気づいたらしい彼女と目が合う。
「あら、可愛らしいお客さんね。あなたがサーの言っていた子かしら」
『Aです。……あなたは？』
「ミス・オールサンデー……ここではそう呼ばれているわ」
コードネームらしき名前を名乗った彼女は、優雅に微笑みながら私を見つめる。
『クロコダイルさんはどこに？』
「あなた、彼の弱みを握りたいんでしょう？それなら一緒に来るといいわ」
『えっ、あ、はい』
既に彼女にも情報が回ってるらしい。
さすが七武海、仕事のデキる男、ホウレンソウに抜かりがない。
『えっと、どこに行くんです？』
「秘密結社の作戦会議……かしら」
『っ！？』
ミス・オールサンデーの計らいで、私は早くも事件の根幹に関わる情報に近づけてしまうらしい。
なにこれ、ひょっとしてイージーモード……？
秘密結社の作戦会議とかいう、厨二心くすぐる言葉にドキドキしながらミス・オールサンデーに着いて行くと、彼女は地下に続く階段をつかつかと降りていく。
その先には重い扉があって、彼女は衒いなくその扉を開けた。
開け放たれた扉から中を覗けば、既に5人がそこに揃っていた。
……揃ってはいたものの、揃いも揃って癖が強く、その場は混沌としているようだった。
「ふふふっ……みんな仲良くってわけにはいかなそうね……。もっともその必要はないんだけど……」
「あらサンデーちゃん、最近ドゥー！？」
「その後ろの子は誰だい？関係者じゃないだろ」
中年の女性が私を指さし尋ねると、ミス・オールサンデーは不敵に笑った。
「ふふ、侵入者……ってところかしら」
ぶわりと、その場に殺気が満ちた。
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作者名：涼風音欧 | 作成日時：2022年10月8日 3時
