図書館戦争 〜カミツレのブローチ〜

失態 ページ10

「じゃあ行ってこいよ。ただし時間は10分だ。俺は任務を優先したほうがいいと思うけどね」

「ああ、10分きっかりはかってろ」

堂上くんが出て行くと、コツコツコツコツと指でハンドルを叩く音が聞こえる。

「どうしたの、らしくないのにイライラして」

「ごめん」

その一言のみで全く返事は返ってこなかった。

10分経つと、堂上くんが戻ってきた。

シートベルトを締めるや否や、荒っぽい発進をした。

「20秒は負けとくよ」

「ありがたいことで」

そこからは誰も一言も喋らなかった。

失態が発覚したのは図書館についてからだった。

コンテナが鍵ごと壊され、中の本が持ち去られていたのだ。

「悪かった。お前のいう通り迂回すべきだった」

「俺は通報だけしろって言っただけだ。無視しろとは言ってない。俺も純粋な事故だと信じた。意見が食い違っただけだ」

「私も悪かった。途中で面倒になって責任を放棄した。警戒もしてなかったし……」

幹久くんは時間なんてきっちり計ってバカだった、と床を蹴った。

幹久くんにしては珍しいやさぐれぶりだった。

「自分の方に責任があるとか言うなよ。完全に連帯責任だ」

でも２度とこの手は食わない。

幹久くんの呟きにきっぱりと頷けた。

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