事務仕事は嫌いです ページ5
目の前の紙に、最後の一文字を書き終える。
ずっと握っていたペンを漸く手から離した。
『やっと終わった〜!』
力を抜き、椅子の背もたれに寄り掛かる。
固まった身体を解すように手を上に伸ばして、喜びの声を上げた。
谷「お疲れ様です」
事務室内で書類整理をしていた谷崎さんが、優しい笑顔と共に労いの言葉を掛けてくれる。
『ありがとうございます。谷崎さんもお仕事お疲れ様です。……って、あれ?』
何か違和感を感じ、思わず首を傾げた。
谷「どうしたんですか?」
ふと、ある事に気づく。
『国木田さんと敦君と賢治君が居なくなってる……』
事務室内を見渡しても、そこには私と谷崎さんとナオミちゃんと乱歩さんと鏡花ちゃんだけで、先程まで居たはずのあの3人が居なくなっていた。
すると谷崎さんは納得したように頷いた。
谷「敦君と賢治君は市警からの依頼を受けて今は調査に行ってます。国木田さんは、卵のタイムセールに行ってると思います」
敦と賢治君のコンビって事は、あの事件か。
そこまで危険じゃないから私は……行かなくても大丈夫かな。
国木田さんはなんというか……主婦みたいだなぁ。流石、探偵社のお母さん。
それより、
『全っ然皆が出て行った事を知らないんですが……!』
あれぇ?私、そんなに集中して報告書を書いてたっけ?市警からの依頼ってことは、あの人来てたってことでしょう?えっと、あ、そうそう箕浦さんだ。その箕浦さんが来たことすら知らないんですけど?
ナ「皆さん30分前くらいに出掛けましたわ。……そうですわよねェお兄様?」
谷「な、ナオミ!?」
あ、ナオミちゃんだ。
何処からともなく現れたナオミちゃんが、そのお兄様__谷崎さんの耳にふぅ、と息を吹き掛けた。
谷「ひっ、やめなよナオミ!」
谷崎さんが即座にナオミちゃんを止めようとするが、ナオミちゃんはその姿を見てニヤリと笑う。
ナ「あらァ?私に口答えするのはどの口かしら」
ナオミちゃんは谷崎さんの唇を長い人差し指でツツっとなぞった。
その行為に谷崎さんの身体がブルりと震える。
……わ〜熱々だなぁ。
目の前で繰り広げられる谷崎兄妹のじゃれ合いを、少し苦笑しながら眺めていた。
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ニーナ(プロフ) - ふわふわさん» ありがとうございます!返信が遅くなり、すみません。作者の都合で非常に遅くなってしまいますが、続編はしっかり完結させるまで書く予定なので、気長に待って頂けると嬉しいです!面白いと言って下さり、本っ当にありがとうございます!! (2020年11月22日 21時) (レス) id: 65a2341deb (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわ - 文ストに最近ハマり始めました!本当に面白くて好きです!続編は更新する予定ありますか?もしよければ続きが見たいです(*^^*)これからも応援しています! (2020年11月15日 18時) (レス) id: 9f6e2c3f9c (このIDを非表示/違反報告)
ニーナ(プロフ) - 恋雪さん» ありがとうございます!好きって言ってもらえて、本ッ当に嬉しいです!投稿頑張ります。これからもよろしくお願いします! (2018年8月28日 13時) (レス) id: 15bf40c898 (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - もう本当好きです……これからも応援してます!頑張ってください! (2018年8月27日 23時) (レス) id: 2b765a4bd4 (このIDを非表示/違反報告)
ニーナ(プロフ) - ところてんさん» ありがとうございます!投稿頑張ります。これからも見守っていて下さい! (2018年8月18日 16時) (レス) id: 15bf40c898 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニーナ | 作成日時:2018年1月2日 5時