泡沫メモリー【短編集】

鈍感はどっち[今吉翔一] ページ37

※日替わり(先輩)の続き物です

『ゆっくり食べて下さいね』

持ち込んだ荷物を片付けながらそう言う

「なんや、もう帰るん…?」
『はい。それ片付けたら帰りますよ』
「…帰ったあかん。ここに居って」

昼間より熱が上がっているのが実感できる程Aに甘えてしまう

困らせとるよな…
1日中ワシに付き添って介抱してくれとるんやから…

『仕方ないですね…今日だけですよ?』
「ほんまに?」
『疑わないで下さいよ』

困ったように笑いながら薬と水を用意する

『これ飲んでくださいね』
「え…?飲ませてくれへんの…?」
『はい?』
「嘘や、嘘」

へらっと笑うと押し倒される
思わず間抜けな声が出て揺らぐ瞳を見つめた

『今吉先輩、大嫌いです』

無理矢理吐き出したであろう言葉
瞳は揺らいでいた

…あぁ、そういう事かいな

「知っとるよ。ワシの事1番知っとるもんな、自分」

ワシはAに我慢させとったんやな?
Aやから、って甘く見過ぎとったんやんな…?

「けどな、ワシは自分が嫌がっても離さへんで?」

笑って熱の勢いに任せ首に噛み付いた

＿＿＿＿

[Aはワシの癖をよぉ知っとるから]

[ワシの気持ちに気付いとった]

唯一頼める事[高尾和成]→←風邪でも[イオリ=四十万]

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