泡沫メモリー【短編集】

ネクロの花嫁[春日隆平] ページ23

※春日、Aさん人外です

「ホント、Aって可愛いよねぃ」

黒いドレスを着せて髪を結う、それだけで普段の雰囲気とは違うA

『飽きた…』
「ダメだよ。この前暴走した罰なんだから」
『この前やられかけたの誰…』

じとっとした瞳で俺を見る
図星をつかれて目を逸らし、結った髪に造花を飾り付ける
鏡を見せると首を傾げる

「ほら、可愛い」
『………分かんない』
「ん〜Aはこういうのに疎いからなぁ…」
『…隆はこういうの好きなの?』
「Aがするから好きなんだよ」

ワイングラスを手に持ってソファに沈む
訳が分からないと言いたげなAを手招きして膝に抱く

『……隆、来るよ』
「分かってる」

自ら人生を終わらせようとするとは随分馬鹿なんだね…?

『…はぁ…』

溜息を吐いて俺の首へ腕を回すA
扉を破って入って来る人間達

「ネクロの花嫁とその主、この俺が消してやろう」

リーダらしき男へクスッと笑って

「その言葉が最期になるかもねぃ?」
『…喧嘩売るとか馬鹿なんじゃないの』

最期の猶予を与えた

＿＿＿＿

[既に亡き者を葬ろうなど毛頭無理な話である]

[無知で傲慢な人間はそれをも知らず命を落とした]

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