モブアイドル…のはずなのにどうしてこうなった？#２

暑い×暑いの組み合わせ ページ28

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あっづい…。あちぃよ…。
蝉の声嫌い…。この日本の夏特有の蒸し暑さも嫌い…。
今は8月…さっさと夏よ去れ。






練習室で一通りの自主練を終え、隅でタオルとスポドリを手に休憩する。ちなみに俺は練習室借りれるほどのお金はないが、あんずが『アイドルらしい練習しろ！』って半ばキレて練習室を貸してくれた。これでも一応、走ったり筋トレしたりはしてるんだけどな？





あ、やばい。スポドリ無くなった。予備のも。
…購買に買いに行くか。不運なことにまだ借りれる時間が残ってるし。ちゃんと使わないとまたあんずに怒られそうだし。

そう思い、練習室の扉を開ける。と。






？「おっ、Aじゃないか！奇遇だな！」






パタン。それを見た瞬間、練習室の扉を閉める。
何も見なかった。何も見なかった、俺は。
己にそう言い聞かせ、もう一度扉を開ける。






A「………。」





パタン。やっぱり扉を閉める。
あれは幻聴でも幻覚みたいでもなかったみたいだ。
あんな暑苦しいのが幻覚などで見えたら、それは熱中症の症状に間違いない。夏が似合う男という感じがするが、夏と守沢千秋パイセンの組み合わせは暑い×暑いでかなりよろしくない。





千秋「なぜだ！なぜ一度だけでなく二度までも閉めるんだ！」





A！！！と大声を上げながら、俺がいる練習室の前に立ち、ドンドンと扉を叩く守沢先輩。ええい、うるっさい！

しかも練習室の扉の小窓から見える守沢先輩と目が合った…。
うええ、最悪だ…。
開けるまで俺は動かないぞ！とか言いそう…。







ｶﾞﾁｬ
A「なんですか。迷惑なんでやめろください。」


千秋「やっと開けてくれたな！俺はおまえに嫌われたかと…！」


A「別に嫌いってわけじゃ…。」


千秋「A……っ！！」






俺の名前を呼びながら、暑苦しく抱きしめてくる先輩。
前言撤回。やっぱ俺この人嫌い。嘘だけど。



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