88場 開戦準備 ページ10
ライトが点く。
自警団員達が民衆訓練している。指導している者の中には、トールとヴィレントもいた。
そこに、ミスリルとエルトがやってくる。
「お疲れ様、トール、ヴィル、そして同志の方」
ミスリルがそう挨拶すると、トールは軽く手を上げ、ヴィレントと指導されていた男は小さく頭を下げた。
「おう、お疲れ」
「お疲れ様です、団長」
「おお、団長殿。こんにちは」
「こんにちは。――どう? トール」
主語を省略したミスリルの問いに、トールは答える。
「おう、どいつも中々筋が良いぜ。あとは指導者の腕次第だな」
「あら、私は貴方の師範としての腕にも期待しているわよ? ……ヴィル、資金繰りの方はどう?」
ヴィレントは両腕を広げ、笑う。
「全く、アルベルト=カートレッド様々ですよ。ヴィネル=デルタ様も勿論ですがね。武器・防具は全員に行き渡るでしょうし、兵糧も十分以上の数が揃っています。ゼイリス殿からの情報もありますし、私の立場から申し上げれば――明日にでも開戦可能です」
「へえ、それは良い報せね。トールはあとどれぐらい欲しい?」
トールは辺りをざっと見回し、告げる。
「――二週間。それで足りる」
「わかったわ。では――開戦は二十日後、セレスタイト広場にて。そこで、全てを終わらせましょう」
ぐっ、とその場にいる全員が頷いた。
暗転――
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作者名:月下 | 作成日時:2018年7月1日 21時