【スタミュ】第三幕／夢と星と、そしてほんの少しの毒 (ページ9)

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87場　快諾ページ9

畳みかけるように、ヴィレントは語る。

「少なくとも、大幅な緩和は必ず実施致しますよ。これまでよりも少額で荷物を届けられ、販路も拡大するでしょう。悪いお話ではないと思うのですが？」

アルベルトはニヤリと笑った。

「確かにそうですね。では組ませて頂きましょうか、フェルナンド殿」

ヴィレントは驚いた顔をする。

「よろしいのですか？総帥とご相談なさらなくて」

「ご心配なく。この件については私の好きなように動かして良いとの許可を頂いておりますので。……それに、私と彼女――マリア＝ルシフェルドには因縁がありましてね。喜んで協力させて頂きますよ」

「「――ありがとうございます！」」

エルトとヴィレントが頭を下げる。

「資金に関しては、そちらの国の商会を通して行う事でよろしいでしょうか？わざわざ隣国までいらっしゃるのも大変でしょう」

「かしこまりました。では、その商会の名前をお伺いしてもよろしいですか？」

「ええ、少々お待ちを」

アルベルトは本棚から何やら書類の束を取り出すと、それを捲った。

「そうですね……。では、ヴィネル＝デルタ率いるデタール商会にお願いするとしましょう」

「デタール商会ですね、かしこまりました。色々とご配慮頂きありがとうございます」

「恩は売れる限り売っておく主義でしてね。皆様のご武運をお祈りしていますよ」

「ありがとうございます。では、我々はこれで」

エルトとヴィレントが一礼して下手に退場する。

暗転――