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119場 鮮血 ページ42
そして再び、ミスリルは剣をレイスへと向け飛びかかった。
実はこの時、ミスリル――Aの立ち位置は、リハーサルよりも一歩だけレイス――揚羽に近かった。
これまで天才的な機転と集中力を利かせていたAだが、ついに此処で途切れてしまったのか。
いずれにせよ、これが普段の偽物の剣なら何の問題もなかった。
しかし、今は違う。
本来ならぶつかり合うはずのミスリルとレイスの剣は、立ち位置のズレからその切っ先を掠めるだけにとどめ――。
結果としてミスリルの剣は空を斬り、レイスの剣はミスリルの二の腕を斬り付けた。
鮮血が、舞った。
宙を飛散する紅色の液体を見た瞬間、ふっ、と視界が暗くなったのを、影夜はどこか他人事のように感じていた。
「影夜君!」「おっと」
長船が低く叫び、鶴丸が影夜の肩を支える。
「大丈夫か?」
「……すみません、大丈夫です」
「無理するなよ。――しかし、起こっちまったなぁ」
瀬名が九曜を見、九曜はインカムで本部と連絡を取り始める。
しかし既に、返ってくる答えは全員が予想していた。
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作者名:月下 | 作成日時:2018年7月1日 21時