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115場 叶わぬ ページ38

そしてその瞬間――

「「――ッ」」

――二人は動かなくなる。

そう、二人は知ってしまったのだ。


目の前にいる仇敵が、かつて未来(ゆめ)を語り合った友人だと。

そしてその《友人》は、たった今永遠に葬られたと。


放心状態から先に我に返ったのは、ミスリルだった。

彼女は肩を震わせながら、押し殺した声で呟いた。

「――そう。貴方が……。あの悪名高き女王様の息子って訳か。なら所詮、あの時の誓いも全て王族の為だったのかな」

「……違う!! あの時も僕は……君達だって、今も昔も敬うべき王族を蔑ろにしているだろう!?」

「それこそ違うでしょう。王族だからと優遇された事に思い上がって、一般市民(わたしたち)を蔑ろにしたのは特権階級民(あなたたち)の方だよ」

「――あの時、この国の為と誓ったのは嘘だったのかい? 国とは舵を取る者がいなければ栄えないだろう?」

「嘘じゃないよ。国とはそこに住む民だもの。たとえ法が許しても、国家が国民を苦しめるのは果たして《正しい国》と言えるの?」

ぐっ、と言葉に詰まるレイス。


そのまま、二人は睨み合う。

116場 抜剣→←114場 邂逅



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作者名:月下 | 作成日時:2018年7月1日 21時

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