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106場 友人達 ページ29

一方、その頃。

客席にいたAと影夜の友人、堀川(ほりかわ)国広(くにひろ)切国(きりくに)国伏(くにふし)の三人はアナウンスを聞き眉をひそめた。

「照明トラブル……、Aさん達、大丈夫かなぁ……」

国広(三男)が不安そうに暗いままのステージを見下ろす。

舞台上には誰もおらず、客席の囁きだけが静かに波打っている。

「――兄弟。これ、本当に照明トラブルだと思うか?」

切国(次男)が国伏(長男)にだけ聞こえるように問うと、国伏は腕を組んだ。

「――さて。だがどちらにしろ、我らに出来る事は此の場から見守る事しかないのではないか?」

「それは、そうだが……。心配ではないのか?」

「先程、瀬名殿や長船殿が舞台袖にいるのだから心配はあるまい」

「……」

切国は渋々黙った。

それに所詮、自分はAと同じ歳の高校生。社会の荒波に揉まれた大人達とは違うのだ。

「切国。信じるのだ。敬愛する友人をな」

「……ああ、わかっているさ」

切国とて、Aや影夜が簡単に舞台を諦めるとは微塵も思っていない。


二人はどんな役を任されようと、いつだって全力なのだから。

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作者名:月下 | 作成日時:2018年7月1日 21時

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