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92場 幕間-2 ページ14

「お疲れ様、揚羽君」

「……ありがと」

舞台袖下手。那雪が差し出したミネラルウォーターのペットボトルを、揚羽が受け取る。

「何も起きてないみたいだね、ステージ」

那雪の出番はレイスが幼少期である第一幕で終わっているが、メインキャストである為にエキストラとしては出演しないのだ。

「……今のところはね」

「このまま行ってくれれば、良いんだけど」

「大丈夫だろ」

そこに、天花寺がやって来る。

「こんなに警察(サツ)がうじゃうじゃいる中で仕掛けて来る程、敵さんも馬鹿じゃねぇだろ」

「だと良いけど」

揚羽が吐き捨てると奥の方にいた使用人服の北原が鼻で笑った。

「随分ぞっこんだな」

「……」

否定も肯定もせず、揚羽はミネラルウォーターに口を付けた。


しかし――揚羽と影夜の警戒は、この後現実のものとなる。

舞台袖で、あるいは客席で見守る者達を嘲笑うかのように。

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作者名:月下 | 作成日時:2018年7月1日 21時

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