52場 苛立ち ページ14
「本ッ当何なの！？ 信じらんない！！」
「まあまあ、そう怒らずに。向こうだって仕事なんだし」
予鈴が鳴るギリギリのタイミングで、優芽と鈴音がクラスへ入ってきた。
……何やら、優芽が随分ご立腹のようだ。
「ちょっと聞いてよ！」
「な、何かあったんですか……？」
少々怯えながら蜂矢が問う。
「先輩が倒れて、その直前に飲んだスポドリに何か入ってたって事で、あたし達は任意聴取されてたでしょ？ 二人の警官に色々聞かれてたんだけど、そのうちの一人があたし達の事犯人扱いしてたんだよ！？」
「そ、それは大変でしたね……」
「そうでしょ！？ もう一人は瀬名さんだったから良かったけどさぁ！」
「……そんなに酷かったのか？」
月皇が鈴音に問うと、彼女は肩を竦めた。
「まあ、警察としては私達かAが犯人の方が面倒じゃないわよねぇ」
「他に練習してた奴は？」
「少なくとも私は見てないわね。あんな事が起きるなんて思わないから、あまり注意もしていなかったし……」
「犯人は？」
空閑が二人に問うと、優芽が答えた。
「こっちが教えて欲しいくらいだよ、全く！！」
「まあそうイライラすんなよ。せっかくのカワイイお顔が台無しだぜ？」
虎石がそう言って優芽にウインクすると、優芽は苛立ちと軽蔑の表情でフン、と鼻を鳴らした。
「どうせ、そういう歯の浮くようなセリフを他の女の子にも言ってるんでしょ？」
「いやいや、他の女には社交辞令。本気で言うのはお前だけだよ」
「あはは、今のあたしをこれ以上怒らせないでくれる？」
北原が虎石に一言。
「時と場合考えろよ……」
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作者名：月下 | 作成日時：2017年12月23日 22時
