30場 外出 ページ34
「……世の因果について、ちょっとね。君こそ、Aや優芽の所にいなくていいのかい？」
「大丈夫でしょう、私は孤独な女王ですからね」
自身が演じるマリア＝ルシフェルドをそう揶揄し、鈴音は微笑んだ。
「それにしても、良いんですか？ 貴方こそ、Aを放っておいて。少なくとも、揚羽君と空閑君は間違いなく――」
「構わないさ。彼らが本気ならね」
影夜は微笑みの種類を変え、再び中央を見る。
そろそろお開きのようだ。
「七種、ちょっといいか」
「うん？」
空閑がAに話しかける。
「どうかした？」
「……此処だと、ちょっと」
気まずそうに空閑がそう口にすると、揚羽の眉が吊り上がった。
それを見て、蜂矢と星谷がそっと揚羽の両肩を押さえる。
「そう？ じゃあ移動しようか。優芽、少し外すから」
「はいよー。まあそろそろ閉会しなきゃいけない時間だから、そのまま帰っても大丈夫だけどね」
「了解」
Aは影夜にも近寄って来ようとしたが、全てを見ていた影夜は片手で丸を作った。
小さく頷くと、Aは空閑を促し外に出た。
建物の外に出ると、歩道の隅で二人は向き合った。
しかし、空閑が口を開くより早く、後ろから来た誰かとAがぶつかった。
Aが軽くよろめいたのを、空閑が素早く支える。
「ふん、道路で突っ立ってんじゃねーよ小娘」
ぶつかってきた男の言葉に、空閑の目元がぴくりと動く。
「俺達は歩道の端に寄っていた。ぶつかって来たのはそっちの方だろう」
「……あぁ？」
不穏な気配を察したAが空閑の服の袖を素早く引っ張ったが、効果はなかったようだった。
そして二人が次の行動を取るより早く――全く別の声が聞こえた。
「――そこで何をしている？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月下 | 作成日時：2017年9月30日 23時
