26場 前華桜会 ページ30
「アンシエントの許可って言われた時点で気付くべきだったんだよ」
「……そうね」
「でもAだって予想外だっただろう?」
「……そうね」
「まさか――アンシエントのみならず、前華桜会メンバーまで呼んでるなんて!」
影夜が叫んだ直後、すぐ後ろから声が聞こえた。
「あら、ご不満ですか?」
二人が振り向くと、鈴音がにこやかに立っていた。
「不満な訳じゃないけど、まさかあの人達のスケジュールを直近で押さえてくるなんて……」
「優芽の家はミュージカル界にも顔が広いですからね。色々な方面に頼み込んだみたいですよ?」
クスリと笑うと、鈴音は影夜の方を見た。
今回の幹事二人(優芽と虎石)は集まってくれた元華桜会に挨拶している。
――いや、一人足りなくないか?
と影夜が気付いた瞬間、声がかけられた。
「やぁ、君達が今年の特待生だね」
そちらを向くと、鳳樹が立っていた。
「初めまして。七種影夜と申します。妹のAと後輩の一華鈴音です。鳳さんのお噂はかねがね」
すかさず影夜がそう挨拶すると、鳳は軽く笑った。
「そう畏まらなくて良いよ。今日は親睦会なんだろう? もっと気軽にしてくれ」
「はい……」
「じゃあ、俺は飲み物でも貰ってくるから、楽しんでくれよ。ボーイ&ガールズ」
鳳が去るのと入れ違いに、北原と南條がやって来た。
「よう。お前ら主役だろ。こんな隅っこにいないでもっと中央にいろよ」
「俺的には割とどうでもいいんだけど、他の奴らが待ってるからさ」
「……うん」
頷き、Aと鈴音は北原と南條について行った。
それを影夜は見送り、その場から動かずにジュースを一口飲んだ。
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作者名:月下 | 作成日時:2017年9月30日 23時