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23場 親睦会 ページ27

翌日の朝、ホームルーム前の教室。

「え? 親睦会?」

Aは優芽に問い返した。

「そう! ミスリルとレイス、それにエルトはそれぞれの恋心を秘めている訳だけど――」

「まさかレイス役かエルト役と恋仲になれ、なんて言わないでしょうね」

「あはは、いくらあたしでもそんな事言わないよ! でも、仲良くなる事は大切じゃない?」

「……」

Aはやや懐疑的な表情で頷いた。

確かに言ってる事は至極真っ当だが、彼女に限っては何か裏があると踏むべきだろう。

千秋での公演の時も、全く同じセリフに騙されて親睦会(という名の合コン)に付き合わされたのだ。

「私だけ?」

「まさか! あたしも鈴音も、影夜先輩も出るんだよ」

「……なら、まあ……」

あの兄は多少シスコンではあるものの、常識から外れる程に妹を溺愛している訳ではない。

適度に守り、適度に自由をくれる兄ならば、まあ上手く立ち回ってくれるだろう。

「決まり! 向こうの幹事は虎石君だから、打ち合わせしてくるー!」

「……行ってらっしゃい」

Aも、虎石が相当遊んでいるという事は知っている。

不安そうな顔を見かねたか、鈴音が声をかける。

「大丈夫よ。本当に『亡国のネメシス』のキャストしか来ないから」

「……そう」

しかし、Aが不安そうにした理由は別にある。

優芽が何処か、無理をしているように見えたから。

そしてそれは、彼女が知っている覚醒剤の件と無関係ではないのかもしれない。

そんなAの思考を知ってか知らずか、鈴音は微笑んだ。

「それより、ほら」


彼女が意味ありげに、後方へと視線を向けた。

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作者名:月下 | 作成日時:2017年9月30日 23時

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