02.ババ抜き ページ3
【クラブの2】
『また負けたの?』
「ぐっ……。俺は何で全つっぱなんていう馬鹿なことをしたんだ……!!」
『それ、二週間前も同じこと言ってたよ』
たまたま公園のベンチで項垂れている帝統を見つけたのが一時間前。今はファミレスで談笑している。勿論、私の奢りなのだが。
といっても帝統はスープしか飲んでおらず、大した出費でないあたり女だからと配慮してくれているのだろう。そういうとこは好きだ。
「お前、大学は良いのか?」
『今日はたまたま休み。彼氏と午後からデートなの。運良く公園通って良かったね』
「……ふぅん。彼氏とは最近、どうなんだ?」
『……』
もう彼と付き合って二年も経つ。そろそろ来年辺りに結婚を考えてもいいかな、とは思ってはいるのだ。ただ相手は一つ年下である。
『うん、まぁ。いつも通りかな。そういう帝統は最近、家来ないけどどうなの?』
「乱数が泊めてくれるから、そっちに行ってるぜ。彼氏いるお前んとこに毎日行くわけにはいかねぇだろ」
『乱数ってあの飴村乱数?』
「おう!!」
彼がディビジョンラップバトルのシブヤ代表になってから、やや遠く思えてきた。こうして二人で席に座っているが視線がとても煩わしい。
女の子にキャーキャー騒がれている帝統なんて二年前までは想像出来なかった。況してやTDDの飴村乱数に天才小説家の夢野幻太郎。
有名人の知り合いがいる帝統は、昔の帝統と何も変わっていないのに何かが違う気がする。私が勝手に距離を感じているのだろう。
『……んまぁ、帝統が無事なら良いや』
「まぁって何だよ、まぁって!!俺らダチじゃんかよぉ〜!!そっけねぇなぁ」
『他に何てコメントしろと?』
「別に凝ったことを言えって言ってんじゃねぇよ。……あ、そうだ」
ふと帝統がジャケットの内ポケから、ラッピングされた箱を取り出す。いつもは持っているものがグチャグチャなのに、その箱は綺麗だ。
「お前にやるよ。じゃあな」
『え、ちょ』
帝統はそう言うと席を立って行ってしまった。私も帝統と喋るためにここに来たわけであって、箱をバッグに入れてレジへと足を進めた。
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すたぁあろぉー - 甘々、独占、ときて略奪…うん。好きです。 山田君とのお話の題名、日を分けて全て作ってみましたが、全て私好み味でした! そしてやっぱり設定が細かい…!すきぃ…もうめっちゃ応援してます!! (2021年2月5日 0時) (レス) id: 7e61cd56ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セニオリス | 作成日時:2019年8月18日 9時