01.大富豪 ページ2
【スペードのA】
有栖川帝統と出会ったのは三年前の冬。東京にも雪が積もるほど降った日のことだった。ビルとビルの間の狭い路地に縮こまる彼。
あまりにも寒そうな彼を家に入れてしまってからの付き合いである。それから月に何度か会うような仲にまで発展した。素直に喜ばしい。
人生で出会える人間の数なんてたかが知れている。こういう奇妙なご縁というのもなかなか巡り会えないだろう。そう考えていた。
「彼氏が出来たァ!?」
『うん。バイト先の後輩から告白されて。前から気になっていたから付き合うことにしたの』
帝統と出会ってから一年ほど経ったある日。お金がない、腹が減ったと家に転がりこんできた彼を招き入れ、彼氏が出来たことを報告した。
「……そうか、良かったな!!でも、俺はAん家に行かない方がいいんだよな?」
彼はそう言って残念そうにうつ向いた。確かに彼氏という存在がいるのなら、恋人以外の男を家に上げるなんて如何なものだろうか。
それに私は帝統が心配だ。彼の友人としてやはり親愛は持っているし、一年間もこうして隣にいるのだ。気心を知れてる相談相手でもある。
『帝統のことは私が彼に打ち明けてみるよ。私と帝統はやましい間柄じゃないし』
「本当にイイのか?」
『私と君の仲でしょ。今更遠慮されたって困る。それに私も寂しいし』
「……おう。すっげぇ嬉しい」
何故か意外にもらしくなく、念押しするように聞いてくる彼に苦笑すると、帝統は満面の笑みを浮かべてくれた。やっぱり笑顔が一番だ。
数日後に彼氏に帝統のことを言うと、何ともいえない表情をされた。だが、そういうことを打ち明けてくれたという事実が良かったのだろう。
絶対に恋愛に発展しないことや身体の関係を持たないこと、無防備な姿を見せないこと。泊まってもらう日数を減らすことなど。
いくつかの条件の元に帝統のことを許された。本当に良い彼氏だと思う。男性の距離が近い(一般的には友達以上、恋人未満の)関係。
それをちゃんと公認してくれる。
それから二年。いつの間にか私も二十歳となり、帝統との付き合いも彼氏との関係も変わらず、発展していくばかりであった。
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すたぁあろぉー - 甘々、独占、ときて略奪…うん。好きです。 山田君とのお話の題名、日を分けて全て作ってみましたが、全て私好み味でした! そしてやっぱり設定が細かい…!すきぃ…もうめっちゃ応援してます!! (2021年2月5日 0時) (レス) id: 7e61cd56ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セニオリス | 作成日時:2019年8月18日 9時