怪我。 ページ11
Aside
『いった……』
部屋の掃除をしている時、不意に手を切ってしまった。
『すぐ止まるかな…』
切っただけだったからすぐに血は止まると思ってた。
(あれ？…)
全然血が止まる気配がない。むしろ酷くなってきている。そんなに深く切っていたのか。
『やばっ……』
みんなに心配させないように隠しながら救急箱から絆創膏を取り出しに行く。
て「ん？あ！A！掃除終わった？？」
『あ、一応』
て「お疲れ！よし！ハグしたる！」
こっちおいでと言わんばかりに目をキラキラさせ、両手を広げたてつやさんが待っている。
でも、私の左手には深い傷。
痛みも何だか大きくなってきた気がする。
『…また後で、いいかな？』
不自然にしか笑えない。
痛い。
と「なんか、お前顔色悪くね？」
虫「なんか、大丈夫？」
『…うんっ』
早く、早く止めないと
り「…A、左手見せて」
『え、なんで』
り「いいから」
痛い……
『…はい』
傷を隠しながら見せる。バレないはず…
し「まって、何その赤いの」
え？見えた？
『…血糊』
り「ほんとに？」
『うん、ほんと』
早く止血しないと
ゆ「それ、血じゃないの？」
虫「血っぽいよね」
『違う、血じゃない』
て「なんでそんなしかめっ面なの？」
『…お腹痛いから』
と「その右手で隠してること見せてみ」
『なんで』
と「気になるから」
もう、隠せないや
『後でね』
無駄な言い訳をして救急箱をとり、急いで部屋を後にする。
洗面台につき、前の鏡に写った自分の手を見てみると血だらけ。
これはバレるわ。
『いて……』
まだ少し滴っている。
(結構深いな…)
消毒をしなければいけない。
『…あれ？』
何故か思うように手が動かない。
パニックになっているのだろうか。
『大丈夫、大丈夫…』
そう意識した瞬間、手が震え始める。
『止まって…大丈夫だから』
震える手はまるで自分のものではないくらい、言う事を聞いてくれない
『お願い…止まって…』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 146人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Nekoika ,T | 作者ホームページ：T
作成日時：2020年8月16日 12時
