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「──────救急車呼んだぞ!直井コーチにも伝えた!!Aは…………ッ、!!」
保健室にAを運んでベッドへ横たわらせて数分後。黒尾が飛び込むように駆け込んできた。同時に意識を手放しているAの姿を見て絶句している。無理もない。
保健室内にある氷やアイスノンなどでAの身体…太い血管が通る場所を冷やしていて、かつ脱脂綿やティッシュで流れ落ちる鼻血を止めていた。額には熱を下げるための冷えピタが既に貼られている状態だ。長ズボンも冷やすために裾を捲し上げられていて、バレエで鍛えられた細い足も顕になっている。
Aの親友である楓ちゃん(余談だが、苗字呼び捨てが苦手らしく、『さん』か『ちゃん』をつけて欲しいと懇願された。年下ということもあって後者を俺は選んだ。)を始めとして、ここに集ってくれたマネージャー達が忙しなく動いてくれていた。どうやら楓ちゃんのお母さんはAんとこの病院の看護師長らしく、母親から何かしら教えを受けているのだろう。実質的なこの場の指揮権が彼女の手に存在していた。
俺と保健室の用意をした海は楓ちゃんに指示された通り、楓ちゃん達マネージャーが持ってきてくれたうちわや下敷きでAの身体に風を送っていた。黒尾も余っていた下敷きを手にして、俺らと向かい側に腰掛けて、同じように冷やすための風を送る。
「俺が来た時にはもう倒れていたんだ、」
「そうか、まずは見つかって良かったけどな……ッ」
「それと、俺らの予想通り、Aはやっぱり化粧していたみたいだ。」
「?どうして分かるんだ海、」
「夜久がAをここに運ぶ時に持ってきたAの荷物が、これだ。」
ベッドのすぐ近くに置いてある、Aの荷物。海は中身が見えるように黒尾に見せた。小さな布製の口が空いたカバンで、その中には見覚えのある日焼け止めスプレーが転がっていた。
『──────あ!外出る前にちょっと待って!』
『お?どうしたんだ─────って!うわっ!』
『顔面にスプレー……!?』
『衛輔も信君も驚かせてごめん。これメイクの上からでも直接かけられる日焼け止めスプレーなんだ。』
『日焼け止めスプレーってあれだろ?顔に使う際は手に出してからってのが多いよな?前に姉貴が『メイクしてたらどうするんだ!崩れるじゃん!』って文句言ってた』
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作者名:RiN | 作成日時:2024年3月18日 5時