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だが練習試合やペナルティをこなしているなどといった、俺らが見ていないところで、他校のマネージャーに気を遣ったり仕事を手伝ったりして動いていたのも、俺は見ていた。
自主練も禁止されたことにより、いつもより早い夕食を取りに向かう。少しAの話を3人で話すと、やはり黒尾と海もどこか今日のAに違和感を持っていたようだ。
(夕食中に話を聞いて、無理しねぇように念押しするか。あと、腕掴んだのも謝ろう……。)
食堂に到着して気付いた。
まるで仲間外れかのように、Aだけが、そこにいない事実に。
想定してしまうのは最悪の事態。
1人だけどこかで倒れてしまっていること。
そんな最悪の想像が現実にならないで欲しい、そう思ってたまらず電話をかけても繋がらない。
黒尾と海と俺で、体育館へ走って向かう。
食堂からも第1体育館からも少し離れた第3体育館に行けば、明々と明かりがついていた。その明かりを見て ひゅ、と気道に冷たい空気が鋭く流れ込んで、血の気が引いた心地がした。
「─────────A!!!」
第3体育館の入口へ駆け込んで腹の底から声を出してAの名前を叫ぶ。全体を見渡してすぐに、少し奥の辺りで倒れている誰かがいた。
音駒の赤のジャージズボンを履いて、『スタイル良く見えるし、何よりバレー部のジャージと合うからお気に入りだ』と言った、黒地に赤のラインがサイドに入ったシャツを着ているAが、倒れていた。
「おい!A!!しっかりしろ!!!」
駆け出してその小さく華奢な身体を揺すりながら、これでもかと言うほどの大声を浴びせる。触れているAの身体が信じられないくらいに熱い。
顔を隠す髪を手で避けると、苦しかったのか茹だるような身体の熱さに対する反射なのか涙の跡がくっきり残っていて、そして未だ止まっていない鼻血がボタボタと流れて体育館の床に落ち続けていた。
何度名前を呼んでも、閉じられた目が開くことがない。すかさず首に触れて脈を確認したら、トクントクンと脈打っていたことに少しだけ安堵した。
「────黒尾!海!聞こえるか!!」
「聞こえるぞ夜久!」
「凜がいたのか!?」
「──────Aが!!倒れてる!!!」
「意識は!?」
「ねぇ!!身体が熱ぃし鼻血も出てる!きっと熱中症と疲れだ!」
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作者名:RiN | 作成日時:2024年3月18日 5時