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「元々Aがマネージャーとして入ってくれるまでは俺らが全部やってたんだ。研磨達にもいい刺激になんだろ。任せろよ、Aは無理せず自分に出来ることだけ、な?」
まぁ残るって選択肢を取るならだけどな! なんて付け加えて笑う君の笑顔を見て、迷って揺らいでいた心は覚悟を決めるかのように決断を下した。
「直井コーチ、私─────」
すると直井コーチは言わなくて大丈夫だと言わんばかりに手をひらひらと振って私の言葉を遮る。
「今の話を聞いてて分からない訳じゃないぞ。残るんだな?」
「はい、っ。いい、ですか……」
「分かった。親御さんには俺からも伝えるが、雪月自身からも連絡を入れておくんだぞ。心配なさっていたから、」
「もちろんです、」
「猫又監督や他の監督、コーチ、俺もだ。キツそうと思ったらもうその時点ですぐに強制送還するからな。夜久の言葉通りに動くのなら、俺は何も言わねぇ。指導者側にはちゃんと念押ししておくから。いいな?」
「はい、ありがとうございます」
はは、と大人の余裕を感じるような直井コーチの笑顔に、どこかほっとしつつ、いい仲間を持てたんだなと何度認識したか分からない事実を再確認する。
「まぁ、俺もホントは帰る選択肢が良いって思ってたけどな。あと1日だし、Aがそう言うんなら止めはしねぇ。」
すると衛輔がそう呟いてから、私の名前を呼んで真剣な顔でこちらへ顔を向けた。それに倣って自分も衛輔のいる方向へきちんと顔を向ける。
「いいか?出来ることだけだぞ。気を利かせてあれもこれもやろうとするんじゃねぇ。何ならベンチに座ってるだけでもいいんだからな。誰かが何か言ってこようが、俺が許す」
「あはは、衛輔、さすがにベンチに座るだけはしないし出来ないよ。でも気持ちはたくさん伝わった。ありがと、」
「おう。きついなって思ったら、誰かに言え。言いづらいことなら俺に言え。前にもさっきも、言ったろ?」
「うん、っっ……ちゃんと、言います…」
「良し。」
言ったろ?のその顔に、余裕そうな色香があって少しドキッとする。
喫茶店での会話と、さっきまでいた病室での会話が鮮明にフラッシュバックし、暗さに紛れてまた顔を赤くしていた。
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作者名:RiN | 作成日時:2024年3月18日 5時